枕元や排水溝に落ちた抜け毛を見たとき、その根本にある「毛根」の形や色をじっくり観察したことはありますか。

実は毛根は、現在の頭皮環境や健康状態、そしてAGA(男性型脱毛症)の進行リスクを映し出す鏡のような存在です。

健康な髪は根元がふっくらとしていますが、危険な抜け毛は細く尖っていたり、黒ずんでいたりと明確なサインを発しています。

この記事では、毛根の形状や色が示す具体的なトラブルの原因を詳しく解説し、今すぐ始めるべき対策までを網羅しました。

正常な毛根と異常な毛根の基本的な見分け方

抜け毛の毛根を観察すると、その髪が自然な生え変わりで抜けたのか、あるいは何らかのトラブルによって強制的に抜けてしまったのかを判断できます。

正常な毛根は丸く膨らんでいますが、異常な毛根は細く萎縮しており、この形状の違いを見極めることで頭皮の危険度を判断できます。

マッチ棒のような形をした健康的な毛根

健康な頭皮から自然に抜け落ちた髪の毛根は、マッチ棒の先のようにふっくらと丸く膨らんでいます。この膨らみは「毛球」と呼ばれ、髪が成長するために十分な栄養を受け取り、寿命を全うした証拠です。

色は白っぽく、あるいは半透明に見えるのが一般的です。指で触れたときにわずかな引っ掛かりや弾力を感じる場合も、正常な毛根の特徴といえます。

このような抜け毛であれば、ヘアサイクルによる自然脱毛である可能性が高く、過度に心配する必要はありません。新しい髪が生えてくる準備が整っている状態と考えられます。

全体的に細く弱々しい異常な毛根の特徴

注意が必要なのは、根元の膨らみがほとんどない、または極端に小さい毛根です。

全体的に細く棒のような形をしていたり、先が尖っていたりする場合は、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまった可能性を示唆します。

これはヘアサイクルが乱れ、成長期が短縮されたことによる脱毛の典型的なサインです。

栄養不足や血行不良、あるいはAGAの影響を受けている場合、毛根が十分に育てず、細く弱々しい状態で頭皮から離れてしまいます。

毛根の周囲に付着する白い塊の正体

抜け毛の根元に、半透明や白っぽいゼリー状の塊が付着しているときがあります。これは「毛根鞘(もうこんしょう)」と呼ばれる組織の一部で、髪と頭皮をつなぎ止める接着剤のような役割を果たしています。

毛根鞘が付着している自体は、髪が毛穴の奥からしっかりと抜けた証拠であり、必ずしも異常ではありません。

しかし、この塊が過剰に大きい場合や、ベタつきを伴う場合は、頭皮の皮脂分泌が過剰になっている可能性があります。頭皮環境の悪化を示唆するサインとして捉えましょう。

正常な毛根と危険な毛根の比較

特徴正常な毛根(自然脱毛)危険な毛根(異常脱毛)
形状マッチ棒のように丸く膨らんでいる膨らみがなく細い、またはいびつ
白、または半透明黒い、茶色い、血が混じっている
付着物適度な毛根鞘がある脂っぽくベタついている、または全くない
状態の意味寿命を全うした健康な抜け毛成長途中で抜けた警告サイン

毛根の色が教えてくれる頭皮と髪の緊急度

毛根の形だけでなく「色」もまた、髪の健康状態を知るための重要な手がかりとなります。

健康な毛根は色素が抜けて白くなりますが、黒色や赤色が残る毛根は栄養不足や炎症を示しており、色の違いは頭皮の緊急度を判断する重要な指標となります。

白い毛根は基本的に健康の証

抜け毛の根元が白くなっているのは、髪の色素であるメラニンの供給が停止し、成長が止まってから抜け落ちた状態を意味します。

これは正常なヘアサイクルの過程であり、髪が寿命を迎えて自然に抜けたことを示しています。特に、丸みがあり白い毛根であれば、健康な抜け毛であると判断できます。

ただし、白くても形がいびつであったり、濁った白色でベタつきがあったりする場合は、脂漏性脱毛症などのトラブルが隠れているケースもあるため、形とセットでの観察が大切です。

真っ黒な毛根が示す栄養不足と血行不良

毛根が毛先と同じように黒いまま抜けている場合、それは異常脱毛の可能性が高い状態です。

通常、髪が抜ける準備段階に入ると色素の供給は止まりますが、黒いまま抜けるのは、成長期の真っ只中で突発的に髪が抜けてしまったことを意味します。

急激な栄養不足や強いストレス、あるいは円形脱毛症などの影響で、髪を支える力が急に失われたときに多く見られます。

また、毛根を包む組織が炎症を起こしている場合も、黒い毛根が見られるときがあります。

赤や茶色が混じる毛根と炎症リスク

毛根に赤みや茶色っぽい色が混じっている場合、頭皮の炎症や出血を疑う必要があります。

無理に髪を引っ張って抜いたときだけでなく、頭皮湿疹や過度な乾燥によるひび割れなどが原因で、毛穴内部が出血している可能性があります。また、酸化した皮脂が毛根に付着して茶色く見えるものもあります。

このような色の毛根が見つかった場合、頭皮環境が悪化しており、かゆみや痛みを伴う方も少なくありません。放置するとさらなる抜け毛を招くため、早急な頭皮ケアが必要です。

毛根の色別トラブル判定

毛根の色考えられる状態推奨される対策
白・半透明正常な自然脱毛(形が良い場合)現状のケアを継続する
黒色成長期脱毛、栄養障害生活習慣の見直し、ストレスケア
赤・茶色頭皮の炎症、血行不良頭皮への刺激を減らす、皮膚科受診

形状から判断するAGAリスクと進行レベル

AGA(男性型脱毛症)の進行は、毛根の形状に顕著に現れます。

AGAが進行すると毛根は特有の萎縮を起こすため、変形した毛根のサインの早期発見が進行を食い止める鍵となります。

尻尾のようなものがついている毛根

毛根の先から、さらに細長いひょろひょろとした「尻尾」のようなものが伸びているケースがあります。これは、毛包が萎縮して力を失っているサインです。

髪を作り出す細胞の働きが弱まっており、髪を十分に太く成長させられなくなっています。AGAの初期段階や、慢性的な頭皮の栄養不足状態でよく見られる形状です。

この状態の毛根が増えてくると、髪全体のボリュームが減少し始めます。

先端が尖っている鋭利な毛根

根元に丸みがなく、ペン先のように鋭く尖っている毛根は、非常に危険な状態を示しています。

これは「円形脱毛症」や、極度のストレスによる脱毛、あるいはAGAが進行してヘアサイクルが極端に短くなった場合に見られます。

髪が太くなる前に成長が強制終了させられ、毛穴が収縮する力によって根元が押しつぶされるように尖ってしまうのです。

このタイプの抜け毛は、頭皮が髪を保持する力を失っていることを意味し、早急な専門的なケアが必要です。

くびれや歪みがある毛根

毛根部分が変形し、途中でくびれていたり、曲がっていたりする場合もあります。これは毛穴の内部で何らかの圧迫を受けていたか、頭皮が硬化して髪の通り道が歪んでいることを示唆します。

また、極度のダイエットなどによる一時的な栄養失調が起きると、その期間だけ髪が細くなり、結果としてくびれが生じる場合もあります。

頭皮の血行不良が慢性化しているケースも多く、マッサージなどで頭皮を柔軟に保つケアが必要となります。

危険な毛根形状

  • 先端が尖った「短剣状」の毛根
  • 細長いひげのような「しっぽ」が付いた毛根
  • 膨らみが全くない「棒状」の毛根
  • 全体的に弱々しく「萎縮」した毛根

ヘアサイクルの乱れが毛根を弱らせる理由

毛根の異常は、髪が生え変わる周期である「ヘアサイクル」の乱れと直結しています。

ヘアサイクルが乱れると成長期が短縮され、毛根が十分に育つ前に抜け落ちるため、細く弱い異常な毛根が形成されます。

成長期が短くなることによる未熟化

髪の一生のうち、最も長い期間を占めるのが「成長期」です。この期間に毛母細胞が活発に分裂し、髪は太く長く育ちます。

しかし、AGAや老化、生活習慣の乱れによって成長期が数ヶ月から1年程度にまで短縮される場合があります。成長期が短くなると、毛根が十分に膨らむ時間を与えられません。

その結果、しっかりと根を張る前の未熟な状態で成長が止まり、細く尖った毛根のまま抜け落ちてしまうのです。

抜け毛の中に短い髪が多く混じっているときは、この成長期短縮が起きている可能性が高いといえます。

退行期と休止期における毛根の変化

成長期を終えた髪は「退行期」に入り、毛母細胞の分裂が止まって毛根が縮小し始めます。

その後「休止期」へと移行し、毛根は完全に活動を停止して、次の新しい髪が生えてくるのを待ちながら自然に脱落します。正常なサイクルでは、この過程で毛根は丸く白い「棍棒状」になります。

しかし、ヘアサイクルが乱れると、退行期への移行が急激に起こったり、休止期が長引いて新しい髪が生えてこなかったりします。

異常な毛根は、この移行過程がスムーズに行われなかった結果として現れる形跡なのです。

AGAが引き起こすヘアサイクルの強制終了

AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)は、毛根の司令塔である毛乳頭細胞に取り付き、脱毛因子を放出させます。

この因子は、まだ成長途中である髪に対して「成長を止めろ」という強力な指令を出します。その結果、本来なら数年続くはずの成長期が強制的に終了させられます。

この強力なブレーキによって毛根が急激に萎縮し、十分に育つ機会を奪われます。AGA特有の細く短い抜け毛は、このようにして作られるのです。

ヘアサイクルの段階と期間

段階通常の期間毛根の状態と役割
成長期2年〜6年細胞分裂が活発で、毛根は深く太く成長する
退行期2週間〜3週間成長が止まり、毛根が縮小して上へと移動する
休止期3ヶ月〜4ヶ月毛根の活動が停止し、自然な抜け毛として脱落する

頭皮環境の悪化が毛根に与える直接的なダメージ

毛根は植物でいう「根」であり、頭皮はその根を育てる「土壌」です。

皮脂詰まりや乾燥による炎症は、髪の土台である頭皮環境を悪化させ、健康な毛根の育成を物理的に阻害する直接的な原因となります。

過剰な皮脂分泌による毛穴の詰まり

適度な皮脂は頭皮を守るバリアとして機能しますが、過剰に分泌されると毛穴を塞いでしまいます。

毛穴が詰まると毛根周辺の皮膚呼吸が妨げられるだけでなく、皮脂が酸化して「過酸化脂質」という有害な物質に変化します。過酸化脂質は毛根周辺の細胞を傷つけ、炎症を引き起こす原因となります。

脂っぽいベタついたフケが出る場合や、抜け毛の毛根にドロっとした白い脂が付着している場合は、皮脂過多による環境悪化が毛根を弱らせていると考えられます。

乾燥によるバリア機能の低下と炎症

皮脂とは逆に、乾燥もまた毛根にとって大敵です。洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や、紫外線ダメージによって頭皮が乾燥すると、外部の刺激から守るバリア機能が低下します。

すると、わずかな刺激でも炎症やかゆみが発生しやすくなります。炎症が毛穴の奥にまで及ぶと、毛根がダメージを受け、髪を支える力が弱まります。

乾いたパラパラとしたフケが出る方は頭皮の砂漠化が進んでおり、毛根が枯渇した状態に近いといえます。

常在菌のバランス崩壊と毛根への影響

頭皮には「マラセチア菌」などの常在菌が存在し、通常は皮脂を分解して弱酸性の環境を保つ手助けをしています。

しかし、皮脂の過剰分泌や免疫力の低下によって菌が異常繁殖すると、脂漏性皮膚炎などのトラブルを引き起こします。菌が排出する脂肪酸が皮膚を刺激し、激しい炎症とかゆみを誘発します。

このような炎症が慢性化すると毛根組織が破壊され、健康な髪が生えにくい状態が定着してしまいます。赤みを帯びた頭皮は、菌バランスの崩壊を知らせる警告信号です。

頭皮タイプ別の毛根トラブル傾向

頭皮タイプ特徴毛根への悪影響
脂性頭皮(オイリー)ベタつき、湿ったフケ酸化した皮脂による炎症、毛穴詰まりによる窒息
乾燥頭皮(ドライ)カサつき、乾いたフケバリア機能低下によるダメージ、毛根の萎縮
炎症頭皮(トラブル)赤み、かゆみ、痛み毛根組織の損傷、ヘアサイクルの強制停止

内側からのケア不足が招く毛根の栄養失調

頭皮の外側からのケアだけでなく、身体の内側からの働きかけも毛根の健康には欠かせません。

髪の成長に必要な栄養は血液によって運ばれるため、食生活の乱れや睡眠不足は毛根の栄養失調を招く直接的な原因となります。

髪の原料となるタンパク質とミネラルの不足

髪の成分の9割以上は「ケラチン」というタンパク質で構成されています。そのため、食事から摂取するタンパク質が不足すると、髪を作る材料そのものが足りなくなります。

また、摂取したタンパク質を髪の成分に変えるためには、亜鉛などのミネラルやビタミン類の助けが必要です。

なかでも亜鉛は、新しい細胞を作り出すために重要な役割を果たしますが、体内で生成できないため食事から積極的に摂る必要があります。

過度なダイエットや偏食は毛根を飢餓状態にし、細く切れやすい髪を生み出す原因となります。

毛根強化に必要な3大栄養素

栄養素働き食材
タンパク質髪の基本材料肉、魚、大豆製品など
亜鉛細胞分裂の促進牡蠣、レバー、ナッツ類など
ビタミン群頭皮環境の正常化緑黄色野菜、フルーツなど

睡眠不足が妨げる成長ホルモンの分泌

髪の成長やダメージの修復は、主に寝ている間に行われます。特に、入眠直後の深い眠りの際に分泌される「成長ホルモン」は、毛母細胞の分裂を促す重要な鍵を握っています。

睡眠時間が短かったり質が悪かったりすると、この成長ホルモンの分泌量が減少し、毛根の修復や成長が滞ります。

慢性的な睡眠不足は、自律神経の乱れも招き、頭皮の血行を悪化させるという悪循環を生み出します。しっかりとした毛根を育てるには、質の高い睡眠時間の確保が大切です。

ストレスによる血管収縮と栄養遮断

強いストレスを感じると自律神経の交感神経が優位になり、全身の血管が収縮します。頭皮の毛細血管は非常に細いため、この収縮の影響を強く受けます。

血流が滞ると、心臓から送られてくるはずの酸素や栄養が毛根まで届かなくなります。いわば、毛根への兵糧攻め状態です。

ストレスによって円形脱毛症などの急激な抜け毛が起こるのは、この血流障害と自己免疫の異常が関係しています。

リラックスする時間を作り、副交感神経を優位にする工夫は、毛根への栄養ルートを確保する取り組みと同義です。

AGAと一時的な脱毛症を毛根で見分けるポイント

抜け毛が増えたとき、多くの男性が最も恐れるのが「これはAGA(男性型脱毛症)なのか、それとも一時的なものなのか」という点です。

AGAによる抜け毛は、全体的に短く細い「ミニチュア化」した髪と萎縮した毛根が特徴であり、一時的な脱毛症とは明確に区別できます。

AGA特有のミニチュア化現象

AGAの最大の特徴は、髪が太く育つ前に抜けてしまう「毛包のミニチュア化」です。

そのため、AGAによる抜け毛の毛根は、単に異常な形をしているだけでなく、抜け毛そのものが「短く」「細い」という特徴を持ちます。

長い髪に混じって産毛のような短い髪が多く抜け落ちており、その毛根が小さく萎縮している場合、AGAが発症している可能性が極めて高いといえます。

一時的なストレスや体調不良による抜け毛では、ある程度成長した髪が抜けるケースが多いのに対し、AGAでは成長しきれなかった未熟な髪が目立つのが決定的な違いです。

全体的なボリュームダウンと局所的な薄毛

毛根の観察と合わせて確認したいのが、薄毛の進行パターンです。AGAは前頭部(生え際)や頭頂部(つむじ周辺)から局所的に進行し、その部分の髪質が変化していきます。

該当する部位の抜け毛の毛根が、側頭部や後頭部の健康な髪の毛根と比較して明らかに小さく弱々しい場合、AGAの影響を受けていると判断できます。

一方、頭皮全体から均等に抜け毛が増え、毛根の形も様々である場合は、季節性の抜け毛や休止期脱毛症など、全身性の原因を疑う余地があります。

遺伝的要因と毛根状態の関連性

AGAは遺伝的要素が強い脱毛症です。母方の祖父や父親に薄毛の傾向がある場合、AGAのリスクは高まります。

遺伝的背景があり、かつ抜け毛の毛根に「黒く細い」「尖っている」といったAGA特有のサインが見られるときは、楽観視せずに専門機関での診断を検討すべきです。

毛根からのサインは、遺伝子がスイッチオンになったことを知らせる合図かもしれません。早めに対策を打つと、進行を食い止められます。

AGA抜け毛と一般抜け毛の比較

比較項目一般的な抜け毛(季節性・ストレス)AGAによる抜け毛
髪の長さ長い髪、成長した髪が多い短く細い髪(産毛)が混じる
毛根の形棍棒状だが色素が薄い、またはいびつ小さく萎縮し、尖っていることが多い
抜ける場所頭全体からまんべんなく生え際や頭頂部から集中的に

毛根の状態に関するよくある質問

さいごに、毛根の状態や抜け毛に関して多くの方が抱く疑問について、明確な回答をまとめました。日々のヘアケアや不安解消に役立ててください。

Q
死んでしまった毛根は復活しますか?
A

完全に毛根が死滅し、毛穴が皮膚で塞がってしまった場合、そこから再び髪を生やすのは現代の医学では困難です。

しかし、毛根が活動を休止しているだけの「休止期」の状態や、AGAによって毛根が極端に小さくなっているだけであれば、適切な治療やケアによって再び太い髪を育てられる可能性は十分にあります。

完全に手遅れになる前に、早めの対処を行いましょう。

Q
1日に抜ける髪の本数は何本までなら正常ですか?
A

個人差はありますが、健康な人でも1日に50本から100本程度の髪は自然に抜け落ちます。特に秋などの季節の変わり目には、一時的に200本近く抜けるときもあります。

そのため、洗髪時やブラッシング時にある程度の抜け毛があっても、毛根が白く丸い形をしており、全体のボリュームが変わらなければ過度に心配する必要はありません。

本数よりも、抜け毛の質(細さや短さ)に注目してください。

Q
シャンプーのしすぎは毛根を傷めますか?
A

過度な洗髪は毛根に悪影響を与える可能性があります。

1日に何度もシャンプーをしたり、洗浄力が強すぎるものを使ったりすると、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥によるバリア機能の低下を招きます。

これが炎症を引き起こし、間接的に毛根を弱らせる原因となります。洗髪は1日1回、夜に行い、爪を立てずに優しくマッサージするように洗うのが理想的です。

Q
毛根の白い部分が大きいのは危険なサインですか?
A

毛根の白い部分(毛根鞘)が大きくても、それが透明感のある白色で、ベタつきがなければ基本的には心配ありません。それは髪がしっかりと頭皮に根付いていた証拠でもあります。

ただし、その白い塊が脂っぽく黄色味を帯びていたり、ドロドロとしていたりする場合は、皮脂の過剰分泌による角栓の可能性があります。

頭皮環境が悪化しているサインかもしれないため、頭皮クレンジングや生活習慣の見直しを検討しましょう。

Q
抜け毛に毛根がついていないように見えるのですが?
A

目視で毛根の膨らみが全く確認できず、髪が直角に切れたような状態になっている場合、それは自然な抜け毛ではなく「切れ毛」である可能性が高いです。

髪のダメージが進行してもろくなっているか、頭皮表面で髪が折れてしまっています。毛根が頭皮に残っている状態ですので、ヘアケアで髪の強度を高める取り組みが大切です。

もし根本から抜けているのに膨らみが皆無であれば、重度の栄養不足やびまん性脱毛症の疑いもあります。

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