東京で美容外科医をしている齋藤隆文(形成外科専門医)です。当サイトで、美容コラムを担当しています。この記事の一番最後に、現在の東京での診療案内を載せていますので、受診希望の方は私のホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。

まぶたが重くて困っている、目が疲れやすくなった、肩こりや頭痛がある、おでこのシワがひどくなった、などの症状でお悩みではありませんか?もしかするとその原因は眼瞼下垂(がんけんかすい)かもしれません。

眼瞼下垂というのは、まぶたの開きが悪くなってしまう老化も含めた病気と考えられています。これは手術で治療することが可能です。

ただ、手術とはいっても、まぶたの相談に行ったら何を聞かれるの?質問に答えられるか不安!とか、手術室なんてドラマでしか見たことないけど、何されるのかわからないからすごく怖い!って思いませんか?

この記事では、私が専門の一つとしている眼瞼下垂治療について、実際のお写真を見ながらその流れをご紹介します。外来に初めて行った時にどんなを聞かれるのか、何を準備をしていれば良いのかについて説明しています。

また、手術当日の流れの全てを、臨場感をできるだけ感じてもらえるように解説しています。ご一読いただければ、一度手術を受けたかのような読後感に包まれることと思います。

眼瞼下垂(がんけんかすい)手術と言っても、そのやり方は外科医によって実に様々です。

わずか4cm四方程度の領域に実に複雑な構造が構築されており、曲線により形作られた3次元的でダイナミックな臓器を正確に操作し、見た目も機能も美しい上まぶたを目指して丁寧に治療しなければなりません。

手術をお願いする先生が、どのように考えて治療をしているのかを知っておくことは、自分が手術後にどうなるのかを理解する助けになると思います。

私が普段行っているまぶた治療については、他の記事でも詳しく紹介しています、ぜひ合わせて読んでいただけたら嬉しいです。

初診 外来でのチェック項目についてQ&A形式で解説

さて、こちらのお写真。まぶたとっても重そうですよね。

眼瞼下垂 術前 イメージ

この方がご相談にいらっしゃると、どういった流れになるのか、一緒に見ていきたいと思います。

まずは私の方から色々とご質問をしながら、ご相談の内容をお聞きします。以下のようなご質問をさせていただくことが多いのですので、なぜそのような質問をさせていただくのかをご理解いただきながら、自分の状態に照らし合わせて読んでいただければと思います。

Q
いつから重くなったのか
A

通常は老化によるものが多いですが、小さい頃からだと先天性(生まれつきの病気によるもの)の可能性が高くなります

Q
朝が悪いとか、夜がひどいとか、一日の中で変化があるか
A

筋肉の病気の可能性があります。この場合には、まぶたの手術ではなく、薬治療で改善する可能性があります。

Q
ハードコンタクトレンズH C Lは使っているか
A

長期的なHCLの使用は眼瞼下垂(がんけんかすい)のリスクであることがわかっています。
使用しているかどうかで術後の再発率にも影響が出るため、大事な質問です。

Q
今までに首から上の手術を受けたり怪我をしたことがあるか
A

手術や怪我が原因でまぶたが重くなることもあります。この場合も、手術に工夫が必要になります。

Q
ドライアイで治療をしているか
A

まぶたがより開くようになると、乾きが強くなる可能性があります。

Q
お薬は何を飲んでいるか
A

糖尿病のお薬と、血をサラサラにするお薬を飲まれている場合は、手術の前にお薬を一時的に中止することがあります。術後の出血や感染に影響するため、自分の飲んでいる薬は全て説明できるようにしていきましょう。

などの医学的なお話と同時に、

Q
いつから二重なのか
まぶたや眉毛まわりのお化粧はいつもどうしているか
A

術式を選ぶ際に重要です。

Q
まぶたの印象の変化に対するイメージはどうか。変わりたくたい、変わってもOKなど。
A

デザインに影響します

などの見た目のご認識についてもお伺いしています。この際に、昔のよくまぶたが開いていた時のお写真があると、とっても参考になります。

また同時に、

Q
眉毛の位置、下の脂肪厚み
A

手術の前後で位置やまぶたの厚ぼったさが変わる可能性があります

Q
皮膚の厚み、アトピーの有無
A

一重の人は皮膚が厚いことが多く、この場合はデザインに注意が必要です。また、アトピー傾向のある方は、三重になるリスクがあったりデザインでの注意点が増えるため、きちんと診察を受けてこれらを理解しましょう。

さらには、

  • まぶたのくぼみ
  • まぶたを挙げる機能の数字的な評価
  • まぶたの開きの数字的な評価

といったことを、ササッと確認します。そして、加齢による眼瞼下垂ではない別の原因の可能性が疑われたら、追加の検査が入ることもあります。が、、稀です。

この方の場合は、 ここ数年で重さを自覚するようになり、ドライアイ治療歴はありませんでした。昔のお写真で、本来の二重のラインと開きの印象を確認させてもらいました。

なかなか進行したタイプの腱膜性眼瞼下垂でしたが、筋肉の機能は問題なさそうでしたので、挙筋前転(きょきんぜんてん)術、というけんばんと筋肉を固定し直す術式を選択しました。

この辺りの詳細な説明についてもっと知りたい方は、他の記事も参考にしていただけると幸いです。

あとは、手術についての同意書をいただいて、手術前のお写真を撮影したら、看護師さんから事務的な注意事項を説明してもらって、採血検査して、終了です。

術当日 手術室での流れを全部公開!

手術前の食事と飲水制限がありますので、必ず守りましょう。さっきご飯食べちゃいました、、、はい、手術は延期です。

最悪の場合、中止になることが本当にあるので、注意事項はきっちり守りましょう。

手術の15分前くらいに病院にきてもらうようにしていますが、この辺りは病院によって異なると思います。術前にきちんと確認しておきたいことの一つですね。

着替えでガーゼが取れて服が汚れた!なんてゆう万が一のことも考えて、汚れても大丈夫な服でいきましょうね。この辺りは他の手術でも同じです。お顔周りの手術を受ける際にはあまりお洒落をしないことをおすすめします。

手術着に着替えて、手術室に向かいます。手術室に入って、手術台に横になったら、あとはドクターとナースに身を委ねましょう。もうあなたは、まな板の鯉です。信頼できる医師であれば、何も心配する必要はありません、言われた通りにしておくだけです。

通常はモニターと呼ばれる血圧とか体内の酸素量を測る、痛くないデバイスがいくつか体につけられます。もう一度言います、痛くないです。

そしてお顔を消毒液できれいにします。これももちろん、痛くないです、目や口に入っても大丈夫なものを使います。きれいになったら、清潔な布をお顔にかけて、お顔だけが出ている状態にします。

千と千尋の〜、の、カオナシ、みたいな感じです。

たとえ 眼瞼下垂

これで準備が完了。まだ何も痛いことはしていませんよ!

次にデザインです。

ここからは基本的にずっと目をつぶっています。細いペンを使ってまぶたに手術のデザインを書いていきます。ここがいきなり手術の山場その1です。先生おそらく、すごく集中しています。静かに終わるのを待ちます。

終わったら、デザインの写真をとって、ようやく手術開始です。

、、、、準備長い!!!デザインにこだわると、修正ケースでは15分くらいかかってしまうこともあります。妥協ないデザインが、望ましい術後結果につながると信じています。細かいことの積み重ねが、本当に明暗を分けるのがお顔の手術です。

ぼくは、ほそ〜い針を使って、眉毛周囲の麻酔から開始します。細い針でゆっくり、丁寧に入れる、まぶた全体の痛みを少なくする努力です。なので、

麻酔長くない?!?!?!?!?!

と思っても、それは、そうです、医師側からの優しさです。誠意です。ギュッと入れると、痛いんです。さて、麻酔が終わったら、そのあとは基本的には痛みから解放されます。

なので、

*痛いのは、デザインが終わった後の最初の麻酔!

とだけ覚えておくと、緊張する自分をコントロールしやすいと思います。もちろん、その後に麻酔を適時足していく中で、痛みを感じることがあるかもしれません。ですが、必ず痛みが来る時間、というとこのタイミングだけなので、心の準備はここに合わせましょう。

皮膚をメスで切開、必要な量だけ、皮膚と眼輪筋(まぶたを閉じる筋肉)、脂肪を切除しますが、この辺りは患者さんに合わせて調整される部分です。

けんばん、まぶたを挙げる筋肉を見つけます。

まぶたを挙げる筋肉のことを挙筋(きょきん)といいます、部位によって呼び名が挙筋腱膜とか色々変わりますが、手術を受ける側にはどうでもいいことなので、挙筋、で統一します)

さて、これらをきれいにきれいに分けていきます。

けんばんと挙筋が正しくきれいに固定されるための処理をいくつかやったら、固定に移ります、ここからまぶたを開けたり閉じたりします。

  1. まぶたを閉じて、先生がけんばんと挙筋の二つを針と糸で固定していきます、もちろん無痛です。
  2. 手術ライトを消して、まぶたを開け閉め、開きと形を確認します
  3. ライトを当てて、固定位置を修正したり、追加したり

上記を繰り返して、正しい開きと形が完成していきます。

あとは、私の場合は、調整の経過も含めて完成した形を鏡で見てもらって、患者さんが納得したら、キズを閉じます。相談しながら形を決めていくので、術後に形でトラブルになることは少ないです。

自分で鏡を見たらキズが見えるんじゃないの?!おそろしい!!

って思ったあなた、安心してください。目を開けているときはキズは自然と閉じているので見えません。もちろん目を閉じたらキズは開きますが、その時にはあなたには見えません、目を閉じていますので安心です。

あとはずっとまぶたを閉じたまま、先生が針と糸で傷を縫い閉じるのを待ちます。

ここで!

少ない麻酔だとこのタイミングで痛みが少し出ることがあるので、その場合は先生に伝えて追加の麻酔をしてもらいましょうね。

さて、これが手術直後のお写真です。

眼瞼下垂 術直後

あれ、左右差出てない??

こーゆーことはよくあります。腫れや、眉毛の位置が影響してそう見えていますが、大丈夫。左右が揃う状況になったことは確認できています。ここは医師がきちんと正しく判断し、経過を待ちます。

手術当日は、上まぶたの上だけにガーゼを当てて、テープで固定します。そのまま外に出ると少し目立つので、眼鏡やサングラスをして帰る人が多いです。

あとは、抗生剤と、痛い時のために鎮痛剤(ちんつうざい)が処方されることが多いと思います。もし帰ってから痛くても、鎮痛剤を飲めば、基本的にはほぼ痛みはゼロになります。

こちらのお写真は2019年上半期の手術写真からの抜粋例になります。術後の内出血や腫れについては日々改善の努力をコツコツと継続しているため、術直後からのダウンタイムについては比較的腫れや内出血が強めに出た場合のケースとして考えてください。2023年の現在では、こちらの写真よりもダウンタイムを抑えて治療することが可能になってきておりますので、他の記事も参考にしていただけると幸いです。

最後に 術前後のお写真を見ながら振り返る

今回の記事では、

まず、最初の外来で聞かれた時に患者さんが必ず答えられるように準備すべき重要な質問について説明しました。これらについては先生にかかる前に自分で一つ一つ答えを確認・準備してから病院に行かれることをオススメします。

例えば、普段何の薬を飲んでいますか?と聞かれた時に、あれ、なんだっけ?なんていうことになると手術に影響する薬の見落としが起こる可能性があります。しっかりと読んで事前準備なさってください。

次に、手術当日の、手術室に入ってから出るまでの全てを説明しました。これで、手術は一度受けたようなものです。私の手術はいつも同じ流れで行うように心掛けておりますので、安心して手術に望んていただけると思います。

また術後の注意点についてもしっかり説明いたしましたので、術後診察や他の予定を立てるための参考としてください。

では、最後に、抜糸時と最終診察術後9ヶ月のお写真をお出しします。

眼瞼下垂 抜糸後
眼瞼下垂 術後経過

次の記事では、手術が終わってからの、いわゆるダウンタイムについて、

お写真の揃っている患者様にご協力いただけたので、そちらを参考にして説明をしたいと思います。

眼瞼下垂 術前

さて、この方です、この方もなかなかしんどそうなまぶたです。

どんな経過を辿るのでしょうか〜。

今回の治療について
  • 施術内容:眼瞼下垂症手術(挙筋前転法)
  • 費用:今回のような保険治療の場合 3割負担で約5万円 ・ 美容目的の場合 約50万円(モニター制度あり)
  • リスク:腫れ、内出血、痛み、違和感、左右差や後戻り、ドライアイ、眼瞼痙攣、霰粒腫、など
さいとう隆文 顔写真

齋藤 隆文(さいとう たかふみ)
日本形成外科学会認定専門医
神戸大学医学部医学科卒
現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院に所属。専門はお顔の美容外科、特に鼻の治療。

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