乳児湿疹は、1歳ごろまでの赤ちゃんに出る湿疹をまとめた呼び方で、頭皮のかさぶたや口周りの赤み、頬の乾燥など、出る場所によって原因も手当ても異なります。

アトピー性皮膚炎との違いは1回の見た目では決まらず、かゆみのある湿疹が2か月以上くり返すかどうかなど、経過を見て医師が判断します。治療の基本は、泡でやさしく洗って保湿し、炎症がある部分は塗り薬で抑えることです。

保湿や洗い方を見直しても良くならないときや、かゆみで眠れないような様子が見られるときは、当院にご相談ください。

乳児湿疹は、生後まもなくから1歳ごろまでに出る湿疹をまとめた呼び方で、皮脂が多い時期と、皮脂が減って乾燥する時期では、目立つ症状も変わります。

種類目立ちやすい時期・部位肌の様子
新生児ニキビ生後まもない時期の顔赤いぶつぶつや白いぽつぽつ
乳児脂漏性湿疹生後早期の頭皮や眉黄色いかさぶたやべたつき
よだれかぶれよだれが増える時期の口周り唾液の触れる範囲の赤み
乾燥による湿疹皮脂が減るころの頬や体かさつきや赤み

生後早期のニキビと黄色いかさぶた

新生児ニキビは乳児湿疹として扱われることが多いものの、成り立ちは異なり、母親から受けたホルモンの影響などが関わります。乳児脂漏性湿疹では、頭皮や眉に皮脂を含んだ黄色いかさぶたが付くのが特徴です。

口周りのかぶれと乾燥する頬

頬のかさつきには乾燥が、口周りの赤みには唾液の刺激が関わり、よだれかぶれは接触皮膚炎の一種です。

乳児の湿疹を1回の見た目だけで決めず、2か月以上の経過で見分ける考え方を描いた図

湿疹が出た時点で、アトピー性皮膚炎と決まるわけではありません。乳児では、かゆみのある湿疹が2か月以上くり返すことが、アトピー性皮膚炎の一般的な診断の目安の一つです。

湿疹の広がり方とかゆみの経過を確認

乳児のアトピー性皮膚炎では、頬や額から始まり、体や手足へ湿疹が広がることがあります。医師は湿疹の形や分布、かゆみで眠れない日が続くかを、治療への反応と合わせて確かめます。

アトピー性皮膚炎と診断された場合も、塗り薬と保湿が基本です。経過に合わせて、薬を塗る期間や回数、保湿を続ける期間を調整します。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の見分け方や診断時期を考えるうえで、いつからどこに肌荒れが出たかを伝えると診察の助けになります。

汗のたまる場所の細かいぶつぶつはあせも、ジュクジュクして周囲へ広がる発疹はとびひの場合があります。あせもは涼しくして汗を洗い流すケアが基本ですが、とびひは細菌感染のため抗菌薬などの治療が必要です。

おむつの範囲で赤みが続くとき

オムツかぶれは尿や便、蒸れや摩擦などによる肌の炎症です。こまめに交換しても治らない赤みには、カンジダと呼ぶ真菌が関わる場合もあります。原因が違えば合う薬も違うため、顔の湿疹用の薬は流用せず、診察を受けましょう。

一般的な皮膚科では、赤みやかゆみを抑える塗り薬と、乾燥を防ぐ保湿剤を組み合わせます。薬の強さや塗る範囲は、月齢だけでなく部位と炎症の程度に合わせて選びます。

ステロイド外用薬の量と減らし方

人差し指の先から第一関節までの塗り薬が、赤ちゃんの背中で大人の手のひら2枚分に相当する目安を表した図

チューブ入りの塗り薬では、大人の人差し指の先から第一関節まで出した量を一つの目安にします。その量で塗る広さは、大人の手のひら約2枚分です。

乳児湿疹のステロイド外用薬は、副作用に配慮して部位と炎症に合う強さのものを選びます。例えば、顔には体より弱めの薬を短期間使うこともあるでしょう。見た目が落ち着いたら、塗る回数を減らすなどして調整します。

保湿剤は乾燥と刺激に合わせて選ぶ

ヒルドイドなどのヘパリン類似物質は、処方でよく使われる保湿剤で、肌の水分を保つために使います。ワセリンは表面を覆って水分の蒸発や刺激を減らす保湿剤です。

保湿剤は1日2回を目安に、先に広く塗り、炎症のある部分に薬を重ねる方法があります。保湿剤選びや塗る順番は、処方内容によっても異なります。

かさぶたや口周りは刺激も減らす

頭皮のかさぶたはオリーブオイルでふやかしてから洗い、爪で無理にはがさないことが大切です。口周りはよだれを押さえるように拭き、ワセリンで保護します。ケアを続けても赤みが引かない、ただれる場合は受診の目安です。

薬の量や回数、減らし方、保湿剤との塗る順番は、処方時の指示に従いましょう。

毎日のケアは、汚れを落とす洗浄と、洗ったあとの保湿を組み合わせます。こすり洗いや洗いすぎも刺激になるため、強く洗えば早く治るわけではありません。

  • 洗浄 … 洗浄料を泡立て、手でやさしく洗う
  • すすぎ … 首のしわや耳の後ろにも泡を残さない
  • 保湿 … 入浴後は水分を押さえて拭き、5分以内を目安に保湿剤を塗る
  • 爪と肌着 … 爪を短くし、肌着は柔らかく汗を吸う素材を選ぶ

お湯だけで落ちにくい汚れは泡で洗う

乳児湿疹の洗顔や沐浴では、お湯だけで落ちにくい皮脂や汚れを、低刺激で肌に合う石鹸などの泡洗浄で取り除きます。しみるときは湯をぬるめにし、洗浄料や洗い方も見直しましょう。

湿疹の治療で肌を整えた後、食後の症状の有無に応じて対応を分ける流れ

湿疹があるだけで、食べ物が原因とは判断できません。まず炎症を治療して肌を整え、食後の症状にも目を向けます。

肌から食べ物の成分が入る経皮感作

乳児湿疹で荒れた肌から食べ物の成分が入り、体がそれに反応するようになるのが経皮感作です。食物アレルギーの予防を考えるうえでも肌荒れへの治療は大切ですが、保湿や治療で必ず発症を防げるわけではありません。

検査と食事制限は症状に合わせて判断

食後にじんましんや嘔吐が出る場合などは、食べた物と症状までの時間も判断の材料にして、血液検査や皮膚の検査を症状に応じて検討します。

検査結果だけでは食べられるかどうかは決まらず、離乳食や授乳中の保護者の食事を自己判断で制限しないことが基本です。

乳児湿疹の状態に応じて、診察での相談から救急相談までを3段階で案内する階段図

保湿や洗い方を見直しても1〜2週間ほど改善しないときは、皮膚科で相談する目安とし、発熱や、かゆみで眠れない日があれば、その期間を待たずに受診しましょう。

汁が出るなど悪化が見られたら早めに受診

黄色い汁が出る、1〜2日で範囲が急に広がる場合も、感染などを確かめるため早めに受診します。夜間・休日に受診を迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)で相談すると良いでしょう。

ぐったりしている、飲めないときは、診療時間を待たず救急外来へ連絡し、反応が乏しければ119番で救急車を呼んでください。

Q
乳児湿疹はいつまで続きますか?
Q
乳児湿疹があっても母乳を続けてよいですか?
Q
乳児湿疹の保湿剤は毎回洗い落としますか?
Q
乳児湿疹の受診時に伝えるとよいことは何ですか?
Q
乳児湿疹が治れば保湿をやめてよいですか?

大木皮ふ科クリニックは、小田急線相模大野駅北口から徒歩1分の皮膚科・アレルギー科です。乳児湿疹や赤ちゃんの肌荒れの原因・症状に合わせて薬や保湿剤を処方し、普段のケア方法もご提案しています。

赤ちゃんの肌トラブルにお悩みの方、アレルギー検査を検討中の方は、お気軽にご相談ください。

院長 オオキカズオ 大木和
大木皮ふ科クリニック 副院長 大木沙織

院長の大木和は日本皮膚科学会の皮膚科専門医で、大学ではステロイドとヘルペスを研究しました。虎の門病院で皮膚科学を学んだ後、大木皮ふ科クリニックを開業しています。

副院長の大木沙織は皮膚科医で、日本内科学会の内科専門医と公認心理師の資格を持ちます。順天堂大学卒業後に三井記念病院で研修し、国際医療福祉大学病院で地域医療を学び、他科の疾患も総合的に捉えた診療を得意としています。