
ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)は、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する週1回の注射薬です。肥満治療薬として承認されるまでに、SURMOUNT試験と呼ばれる大規模な臨床試験プログラムで効果と安全性が繰り返し検証されました。
SURMOUNT-1からSURMOUNT-4までの主要4試験では、糖尿病のない肥満の方から2型糖尿病を合併する方まで、幅広い対象で体重減少効果が確認されています。15mg投与群では約20%前後の体重減少が報告され、従来の肥満治療薬を大きく上回る結果でした。
この記事では、各SURMOUNT試験のデータをできるだけ分かりやすく整理し、副作用や投与中止後の体重変化、睡眠時無呼吸への効果まで丁寧に解説します。ゼップバウンドに興味をお持ちの方が、安心して医師に相談できるよう正確な情報をお届けします。
- 1. ゼップバウンド(チルゼパチド)はなぜ肥満治療で注目されているのか
- 2. SURMOUNT-1試験で示されたゼップバウンドの体重減少効果は想像以上だった
- 3. 2型糖尿病を合併する肥満にもゼップバウンドは効くのか|SURMOUNT-2の結果
- 4. 生活習慣の改善をした後にゼップバウンドを使うとさらに痩せる|SURMOUNT-3の成果
- 5. ゼップバウンドをやめたらリバウンドするのか|SURMOUNT-4が教えてくれた事実
- 6. 睡眠時無呼吸や糖尿病予防にもゼップバウンドは効果がある|SURMOUNT-OSAと長期データ
- 7. ゼップバウンドのSURMOUNT試験で報告された副作用と安全性のポイント
- 8. よくある質問
ゼップバウンド(チルゼパチド)はなぜ肥満治療で注目されているのか
ゼップバウンドが注目を集めている理由は、従来の肥満治療薬では到達しなかった水準の体重減少を、臨床試験で繰り返し実証したからです。GIP受容体とGLP-1受容体の2つに同時に働きかける「デュアルアゴニスト」という新しい作用が、食欲の抑制とエネルギー代謝の改善を相乗的にもたらします。
GIPとGLP-1の2つの受容体に作用するデュアルアゴニストとは
GIPとGLP-1はどちらも食事をとった直後に腸から分泌されるホルモンで、インクレチンと総称されます。GLP-1は胃の動きをゆるやかにして満腹感を長引かせ、食事量を自然に減らす作用が知られています。
一方GIPは、脂肪組織や脳にも受容体が存在し、エネルギー代謝の調整に関わっています。チルゼパチドはこの2つのホルモンの働きを1本の注射で同時に引き出すことで、GLP-1単独の薬よりも強い体重減少効果を発揮すると考えられています。
従来のGLP-1受容体作動薬との違いを整理する
セマグルチド(ウゴービ)に代表されるGLP-1受容体作動薬は、すでに肥満治療の分野で高い実績を示してきました。しかしチルゼパチドは、GIP受容体への作用が加わることで体重減少の幅がさらに広がっています。
SURMOUNT-5試験(チルゼパチドとセマグルチドの直接比較)では、72週時点の体重減少率でチルゼパチドがセマグルチドを上回りました。1つの受容体だけを刺激する場合と比べ、2つの経路を同時に活性化する方がより大きな効果を生むという仮説を裏付ける結果です。
| 比較項目 | チルゼパチド(ゼップバウンド) | セマグルチド(ウゴービ) |
|---|---|---|
| 作用する受容体 | GIP+GLP-1 | GLP-1のみ |
| 投与頻度 | 週1回皮下注射 | 週1回皮下注射 |
| 体重減少率(非糖尿病) | 約15~22% | 約15~17% |
| 臨床試験プログラム名 | SURMOUNT | STEP |
SURMOUNT試験プログラムの全体像を押さえよう
SURMOUNT試験は、肥満に対するチルゼパチドの効果と安全性を多角的に評価するために設計された第3相臨床試験群です。SURMOUNT-1から4の主要試験に加え、睡眠時無呼吸を対象としたSURMOUNT-OSA、中国人を対象としたSURMOUNT-CN、心血管アウトカムを評価するSURMOUNT-MMOなど、多数の派生試験が含まれます。
対象者は合計で数千人にのぼり、人種・地域・合併症の有無を問わず、幅広い集団でデータが蓄積されています。これほど包括的な開発プログラムが組まれたことからも、この薬への期待の大きさがうかがえるでしょう。
SURMOUNT-1試験で示されたゼップバウンドの体重減少効果は想像以上だった
SURMOUNT-1はチルゼパチドの肥満治療としての有効性を世界で初めて大規模に検証した試験であり、2型糖尿病を持たない肥満の成人2,539人が参加しました。72週間の治療で、15mg投与群は平均約20.9%の体重減少を達成し、この数字は多くの専門家の予想を超えるものでした。
2,539人を対象とした大規模な二重盲検試験の概要
この試験では、参加者がチルゼパチド5mg、10mg、15mg、またはプラセボ(偽薬)の4群に1:1:1:1の割合で無作為に割り付けられました。全員が食事指導と運動指導を併用しています。参加者の平均年齢は44.9歳で、女性が約67%を占めました。
BMIの平均値は38.0で、対象者の約95%がBMI30以上に該当していました。肥満の平均罹患期間は14.4年と長く、慢性的な体重管理の難しさを抱えた方々が多く参加した試験です。
5mg・10mg・15mgそれぞれの投与量で得られた具体的な数値
72週時点のベースラインからの平均体重減少率は、5mg群で約15.0%、10mg群で約19.5%、15mg群で約20.9%でした。プラセボ群は約3.1%にとどまっています。
10mg群と15mg群では、参加者の89~91%が5%以上の体重減少を達成し、50~57%が20%以上の体重減少に至りました。20%を超える体重減少は外科手術に匹敵する水準とされ、薬物療法だけでこの数字に到達したことは画期的といえます。
ウエスト周囲径や血圧など体重以外の改善も見逃せない
体重の減少に伴い、ウエスト周囲径は15mg群で平均約19.9cm縮小しました。加えて、血圧、中性脂肪、HbA1cなどの代謝関連指標も軒並み改善を示しています。
特に注目すべきは、試験開始時に前糖尿病だった参加者のうちチルゼパチド群では95%が正常血糖値に回復した点です。プラセボ群の62%と比較して明らかに高い数値であり、体重を減らすだけでなく代謝そのものを底上げする可能性が示唆されました。
| 評価項目 | チルゼパチド15mg群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 体重減少率 | 約−20.9% | 約−3.1% |
| 5%以上減量達成率 | 91% | 35% |
| 20%以上減量達成率 | 57% | 3% |
| ウエスト周囲径の変化 | 約−19.9cm | 約−3.4cm |
2型糖尿病を合併する肥満にもゼップバウンドは効くのか|SURMOUNT-2の結果
2型糖尿病を併せ持つ方は、薬物療法による体重減少が得にくい傾向が知られています。SURMOUNT-2はこの課題に正面から取り組んだ試験で、チルゼパチドは糖尿病のある肥満の方でも有意かつ臨床的に意味のある体重減少を実現しました。
糖尿病合併肥満はなぜ痩せにくいのか
2型糖尿病ではインスリン抵抗性が高く、血糖値を下げるために体がインスリンを過剰に分泌しがちです。インスリンには脂肪の蓄積を促進する働きがあるため、体重を落としにくい体質になりやすいと考えられています。
さらに、糖尿病治療薬の中には体重増加を招くものもあり、肥満と糖尿病の両方を同時に管理する難しさは臨床の現場で長年の課題でした。
SURMOUNT-2で確認された体重減少率とHbA1cの同時改善
SURMOUNT-2には、BMI27以上でHbA1c7~10%の成人938人が参加しました。72週間の治療後、チルゼパチド15mg群では平均約14.7%の体重減少が確認され、10mg群でも約12.8%でした。プラセボ群は約3.2%にとどまっています。
同時にHbA1cも大幅に低下し、15mg群では平均約2.1ポイントの改善が報告されました。体重と血糖値を同時にコントロールできるという結果は、糖尿病合併肥満に悩む方にとって大きな希望といえるでしょう。
| 評価項目 | 15mg群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 体重減少率(72週) | 約−14.7% | 約−3.2% |
| HbA1c低下幅 | 約−2.1% | 約−0.5% |
| 5%以上減量達成率 | 約83% | 約32% |
非糖尿病の肥満と比べて効果の差はどの程度あるのか
SURMOUNT-1(非糖尿病)の15mg群で約20.9%、SURMOUNT-2(糖尿病合併)の15mg群で約14.7%と、やはり糖尿病合併例の方が体重減少幅はやや小さくなります。とはいえ、14.7%という数値は従来の肥満治療薬と比べると圧倒的に高い水準です。
他のGLP-1受容体作動薬を用いた糖尿病合併肥満の試験と間接的に比較しても、チルゼパチドの効果は突出していると報告されています。糖尿病があっても諦める必要はない、という明確なメッセージを示した試験です。
生活習慣の改善をした後にゼップバウンドを使うとさらに痩せる|SURMOUNT-3の成果
食事制限と運動で一定の減量に成功した後、そこからさらに体重を落とせるかどうかは多くの方が気になるところでしょう。SURMOUNT-3は、集中的な生活習慣介入で5%以上の減量を達成した方にチルゼパチドを追加投与した試験であり、追加で約18.4%のさらなる体重減少が得られました。
12週間の集中的な食事・運動プログラムの後に薬を追加した試験設計
SURMOUNT-3ではまず全参加者が12週間の集中的な生活習慣介入プログラムに参加し、5%以上の減量に成功した579人がチルゼパチド群(最大耐量10mgまたは15mg)とプラセボ群に無作為に割り付けられました。
その後72週間の投薬を行い、生活習慣改善だけでは到達できなかった水準まで体重を減らせるかが評価されました。「自力で頑張った後に薬の力を借りる」という現実的な治療シナリオを想定した設計が特徴的です。
生活習慣の改善に薬物療法を上乗せした結果の数値
チルゼパチド群は無作為化からさらに平均約18.4%の追加減量を達成しました。プラセボ群では逆に2.5%の体重増加が見られ、両群の差は約20.8ポイントに達しています。
チルゼパチド群の87.5%が無作為化時からさらに5%以上の減量に成功し、プラセボ群の16.5%と大きな開きがありました。生活習慣の改善だけでは限界を感じている方にとって、薬物療法の追加が大きな後押しになることを示したデータです。
運動や食事改善を先に行う順番が治療効果を最大化する
SURMOUNT-3の結果は、「まず生活習慣の改善に取り組み、それでも目標体重に届かない場合に薬を追加する」というアプローチが理にかなっていることを裏付けています。生活習慣の改善で得た基盤のうえに薬が上乗せ効果を発揮するため、トータルの体重減少率は非常に大きなものになりました。
肥満は慢性的な疾患であり、食事と運動だけで長期間維持できる方は限られます。段階的に治療を組み合わせるという考え方が、今後の肥満治療の標準になっていくかもしれません。
- 12週間の生活習慣介入で平均約7%の初期減量を達成
- その後のチルゼパチド投与でさらに約18.4%の追加減量
- トータルでは約25%の体重減少に相当
- プラセボ群はリバウンド傾向(+2.5%)
ゼップバウンドをやめたらリバウンドするのか|SURMOUNT-4が教えてくれた事実
SURMOUNT-4は、チルゼパチドの投与を継続した場合と中断した場合とで体重がどう変化するかを比較した試験です。投与を中断するとリバウンドが起こり、継続した場合はさらなる体重減少が得られるという明確な差が出ました。
36週間の投与後に薬を中止した群と継続した群の比較デザイン
この試験はランダム化離脱試験と呼ばれる設計を採用しています。まず全参加者783人が36週間のオープンラベル期間でチルゼパチドを使用し、平均約20.9%の体重減少を達成しました。
その後670人がチルゼパチド継続群とプラセボ切り替え群に無作為化され、さらに52週間追跡されました。すでに大幅な減量に成功した状態から「薬を続けるか、やめるか」を検証した実験といえます。
投与を中止すると代謝リスク因子も元に戻ってしまう
リバウンドしたのは体重だけではありません。プラセボに切り替えた群では、血圧、中性脂肪、ウエスト周囲径など、36週間で改善していた代謝関連指標の多くが投与前の水準に近づく傾向を示しました。
体重が一時的に減っても代謝改善が持続しないのであれば、長期的な健康効果は限定的になります。この試験結果は、肥満治療薬を「いつまで続けるか」という問いに対し、継続投与の価値を強く支持するデータとなりました。
| 項目 | 継続群 | 中止群(プラセボ) |
|---|---|---|
| 36週→88週の体重変化 | さらに−5.5% | +14.0%リバウンド |
| 試験全体(0→88週)の体重減少 | 約−25.3% | 約−9.9% |
| 80%以上の減量維持率 | 89.5% | 16.6% |
肥満は「治して終わり」ではなく継続的な管理が求められる慢性疾患
SURMOUNT-4の結果は、高血圧や糖尿病と同様に、肥満も長期的な薬物療法が必要な慢性疾患であることを改めて裏付けました。「薬で痩せたらすぐやめる」のではなく、医師と相談しながら治療を続けることが体重維持と健康改善の両方にとって大切です。
睡眠時無呼吸や糖尿病予防にもゼップバウンドは効果がある|SURMOUNT-OSAと長期データ
ゼップバウンドの効果は体重を減らすだけにとどまりません。SURMOUNT-OSA試験では中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸が大幅に改善し、SURMOUNT-1の3年追跡データでは2型糖尿病への進行リスクが大きく低下しました。
SURMOUNT-OSA試験で睡眠時無呼吸のイベント数が劇的に減った
SURMOUNT-OSAは、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満を合併する成人469人を対象に行われた52週間の試験です。PAP療法(陽圧呼吸補助)を使用していない群と使用中の群の2つに分けて評価されました。
52週時点で、チルゼパチド群のAHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数)は試験1で平均約25.3回、試験2で約29.3回減少しました。プラセボ群の減少は約5回にとどまっており、チルゼパチドの効果は統計的にも臨床的にも圧倒的でした。
SURMOUNT-1の3年データでは前糖尿病からの進行を93%抑制した
SURMOUNT-1の176週(約3年4カ月)追跡データでは、ベースラインで前糖尿病だった参加者のうちプラセボ群では13.3%が2型糖尿病に進行したのに対し、チルゼパチド群(全用量プール)ではわずか1.3%でした。
これは約93%のリスク低減に相当します。体重を継続的にコントロールすることで、肥満に伴う代謝異常の進行そのものを食い止められる可能性が示されたデータです。
体重減少が「肥満の合併症」を連鎖的に改善するという証拠
睡眠時無呼吸、糖尿病予備群、脂質異常、高血圧——これらは肥満に起因する合併症群として知られています。SURMOUNT試験群の各データを通じて見えてくるのは、チルゼパチドによる大幅な体重減少がこれらの合併症を連鎖的に改善するという事実です。
「体重を減らすこと」は美容上の目標ではなく、複数の病気のリスクを同時に下げる医学的介入であるという認識が、今後ますます重要になるでしょう。
- 睡眠時無呼吸のAHIがチルゼパチド群で平均20~24回/時間減少
- 3年間の追跡で前糖尿病から糖尿病への進行リスクを93%低減
- hsCRP(炎症マーカー)、収縮期血圧も有意に低下
ゼップバウンドのSURMOUNT試験で報告された副作用と安全性のポイント
ゼップバウンドの副作用は、GLP-1受容体作動薬と共通する胃腸症状が中心です。ほとんどが軽度から中等度であり、投与量を段階的に増やす期間に集中して発現する傾向が報告されています。
胃腸症状が多いが増量期を過ぎると落ち着くケースがほとんど
SURMOUNT試験シリーズを通じて、悪心・下痢・便秘・嘔吐が代表的な副作用として報告されています。これらは投与開始直後や用量を増やしたタイミングに集中しやすく、体が薬に慣れるにつれて軽減するパターンが多く見られました。
チルゼパチドは2.5mgから投与を開始し、4週ごとに2.5mgずつ段階的に増量していきます。この緩やかな増量スケジュール自体が、副作用の発現を抑えるための工夫です。
SURMOUNT試験シリーズで報告された主な副作用
| 副作用の種類 | 発現頻度の目安 | 重症度 |
|---|---|---|
| 悪心(吐き気) | 約24~33% | 大半が軽度~中等度 |
| 下痢 | 約17~25% | 大半が軽度~中等度 |
| 便秘 | 約11~17% | 大半が軽度 |
| 嘔吐 | 約6~13% | 大半が軽度~中等度 |
| 副作用による投与中止率 | 約4~7% | — |
重篤な副作用の頻度はプラセボ群と大きな差がなかった
SURMOUNT-1における重篤な有害事象の発現率は、チルゼパチド群で5.1~6.9%、プラセボ群で6.8%でした。チルゼパチド群のほうが高いわけではなく、重篤な安全性の懸念は現時点では限定的とされています。
胆石症や急性膵炎などインクレチン関連薬で注意が必要とされる事象の発現もわずかながら報告されていますが、頻度は低く、いずれの試験でも膵がんや甲状腺髄様がんの発生は確認されていません。
副作用が心配な方は医師と相談しながら増量ペースを調整できる
副作用が出やすいかどうかには個人差があります。消化器症状が強く出る場合には、増量のペースをゆるやかにする、あるいは一段低い用量で維持するといった対応が実際の臨床では可能です。
自己判断で投与を中断するのではなく、気になる症状があれば早めに主治医に相談することが、安全かつ効果的にゼップバウンドを活用するためのコツといえます。
よくある質問
ゼップバウンド(チルゼパチド)のSURMOUNT試験で報告された体重減少率はどのくらいですか?
SURMOUNT-1試験(2型糖尿病のない肥満の方が対象)では、72週間の投与で15mg群が平均約20.9%、10mg群が約19.5%、5mg群が約15.0%の体重減少を達成しました。プラセボ群は約3.1%にとどまっています。
2型糖尿病を合併する方を対象としたSURMOUNT-2でも、15mg群で約14.7%の体重減少が確認されました。従来の肥満治療薬と比べて大幅に高い減量率が特徴です。
ゼップバウンドの投与を中止した場合、体重はリバウンドしますか?
SURMOUNT-4試験の結果によると、36週間の投与で平均約20.9%の体重減少を達成した後にプラセボに切り替えた群では、52週後に約14%の体重リバウンドが観察されました。一方、投与を継続した群ではさらに約5.5%の追加減量が得られています。
体重だけでなく、血圧や脂質などの代謝指標も投与中止後に悪化する傾向が報告されています。肥満は慢性疾患であるため、自己判断での中止は避け、医師と治療継続について相談することが大切です。
ゼップバウンドは睡眠時無呼吸にも効果がありますか?
SURMOUNT-OSA試験では、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満を合併する469人を対象に52週間の投与が行われました。チルゼパチド群では1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が平均で20~24回減少し、プラセボ群の約5回減少を大きく上回りました。
体重の減少とともに睡眠の質に関する自覚症状も改善が報告されています。肥満が原因で睡眠時無呼吸を発症している方には朗報といえるでしょう。
ゼップバウンドのSURMOUNT試験ではどのような副作用が報告されていますか?
SURMOUNT試験シリーズ全体を通じて、悪心(吐き気)、下痢、便秘、嘔吐といった胃腸系の症状が代表的な副作用として報告されています。多くは軽度から中等度であり、投与量を段階的に増やす期間に発現しやすい傾向がありました。
重篤な有害事象の発現率はプラセボ群と同等であり、膵がんや甲状腺髄様がんの発生は報告されていません。副作用が気になる場合は、増量のペースを医師と相談しながら調整できます。
ゼップバウンドは前糖尿病から2型糖尿病への進行を予防できますか?
SURMOUNT-1試験の3年間(176週)にわたる追跡データでは、ベースライン時に前糖尿病だった参加者のうち、プラセボ群では13.3%が2型糖尿病に進行した一方、チルゼパチド群(全用量をまとめた解析)ではわずか1.3%にとどまりました。
約93%のリスク低減に相当するこの結果は、チルゼパチドが体重減少を通じて糖尿病の発症予防にも寄与する可能性を示しています。ただし、あくまで臨床試験の結果であり、個々の患者さんへの効果は担当医と相談のうえ判断する必要があります。
参考文献
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