ゼップバウンドで何キロ痩せる?体重減少率のデータ

ゼップバウンドで何キロ痩せる?体重減少率のデータ

ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)は、肥満治療薬として注目を集めるGIP/GLP-1受容体作動薬です。臨床試験では、72週間の投与で体重が平均15〜22%減少したと報告されています。

体重100kgの方であれば約15〜22kgの減量に相当し、従来の肥満治療薬とは大きく異なる成績です。ただし個人差があり、持病や生活習慣によって結果は変わります。

この記事では、臨床試験のデータをもとにゼップバウンドの体重減少効果を具体的な数字で解説します。安全に治療を検討するための判断材料として、ぜひお役立てください。

目次 Outline

ゼップバウンドの体重減少率は臨床試験でどれくらいだったのか

ゼップバウンドの臨床試験(SURMOUNT-1試験)では、糖尿病を持たない肥満の方を対象に72週間投与した結果、15mg投与群で平均22.5%の体重減少が確認されました。これは従来の肥満治療薬を大きく上回る数値です。

SURMOUNT-1試験で示された用量ごとの減量幅

SURMOUNT-1試験は、BMI30以上の肥満の方2,539名を対象に行われた大規模な第3相臨床試験です。ゼップバウンド(チルゼパチド)を週1回皮下注射し、食事療法と運動療法を併用しました。

試験の結果、5mg群では平均16.0%、10mg群では平均21.4%、15mg群では平均22.5%の体重減少を達成しています。プラセボ群(偽薬)の減少率はわずか2.4%でしたので、薬の効果が際立っていたといえるでしょう。

具体的に何キロ痩せたのか数字で見る

体重減少率だけでは実感がわきにくいかもしれません。実際のキログラム数で確認すると、5mg群で約16kg、10mg群で約22kg、15mg群で約24kgの減量に成功しています。

投与量体重減少率減少量の目安
5mg16.0%約16kg
10mg21.4%約22kg
15mg22.5%約24kg
プラセボ2.4%約2kg

5%以上減量できた方の割合も非常に高い

臨床試験では、体重を5%以上減らせたかどうかも大切な指標とされています。5mg群で89%、10mg群と15mg群で96%の方が5%以上の体重減少を達成しました。

つまり、治療を継続した方のほぼ全員が、臨床的に意味のある減量に到達しているわけです。従来の薬ではここまで高い達成率は珍しく、ゼップバウンドの特徴的な強みといえます。

プラセボとの差はどの程度開いたのか

15mg群とプラセボ群の体重減少率の差は約20ポイントに達しています。食事・運動だけでは得られにくい大幅な減量を、薬が後押しした形です。

もちろん生活習慣の改善は治療の土台であり、薬だけに頼ることは推奨されていません。それでも、従来の方法で結果が出なかった方にとっては心強い選択肢になるでしょう。

ゼップバウンドは糖尿病がある方でも体重を減らせるのか

SURMOUNT-2試験の結果、2型糖尿病をお持ちの方でも、ゼップバウンド15mg投与で72週間後に平均14.7%の体重減少が確認されています。糖尿病がない方と比べるとやや控えめですが、それでも十分に大きな効果です。

SURMOUNT-2試験の対象と結果

SURMOUNT-2試験は、BMI27以上でHbA1c7〜10%の2型糖尿病患者938名を対象とした第3相臨床試験です。72週間の投与後、10mg群で平均12.8%、15mg群で平均14.7%の体重減少がみられました。

プラセボ群の減少率は3.2%にとどまったため、薬による効果は明確です。血糖コントロールの改善も同時に得られた点が、糖尿病患者にとっての大きな利点でしょう。

糖尿病のある方と糖尿病のない方で効果に差が出る理由

糖尿病がある方は、インスリン抵抗性や代謝の変化によって体重が落ちにくい傾向があります。肥満治療薬全般にいえることですが、糖尿病を合併している場合は減量幅がやや小さくなりがちです。

とはいえ、14.7%の体重減少率は体重100kgの方であれば約15kgに相当します。血糖値と体重の両方に好影響をもたらす治療として、糖尿病をお持ちの方にも期待される薬剤です。

体重減少が血糖改善にもつながった

SURMOUNT-2試験では、体重の減少とともにHbA1cの有意な低下も報告されています。肥満と糖尿病は互いに悪循環を形成するため、体重を減らすことが血糖管理の改善にも直結するのです。

食事制限や運動だけで体重管理に苦労されている糖尿病患者の方にとって、ゼップバウンドは減量と血糖改善を同時に目指せる選択肢として位置づけられています。

試験名対象15mg群の減少率
SURMOUNT-1糖尿病なし22.5%
SURMOUNT-22型糖尿病あり14.7%

ゼップバウンドをやめたらリバウンドするのか|投与中止後のデータ

ゼップバウンドの投与を中止すると、体重は再び増加する傾向があります。SURMOUNT-4試験では、投与を中止した群で平均14.0%の体重増加が認められました。一方、投与を継続した群はさらに5.5%の体重減少を達成しています。

SURMOUNT-4試験が明らかにした投与継続の効果

SURMOUNT-4試験は、36週間の導入期間でゼップバウンドにより平均20.9%の減量に成功した方を対象にした試験です。導入期間後、投与を継続するグループとプラセボに切り替えるグループに分けて52週間追跡しました。

投与を続けた群では、88週時点で開始時から平均25.3%の体重減少を維持していました。プラセボへ切り替えた群の最終的な減少率は9.9%にとどまり、多くの体重が戻ってしまったのです。

投与継続群の89.5%が減量効果を維持できた

投与を続けた方の89.5%が、導入期間中に達成した体重減少の80%以上を維持しています。対照的に、プラセボ群でその水準を保てたのはわずか16.6%でした。

  • 投与継続群の最終的な体重減少率は平均25.3%
  • 投与中止群では平均14.0%のリバウンドが発生
  • 導入期間の減量を80%以上維持できたのは継続群で89.5%

肥満は慢性疾患であり治療の継続が体重管理の鍵になる

この試験結果は、肥満が一時的なものではなく慢性的な疾患であることを如実に物語っています。薬をやめれば体重が戻るのは、高血圧の薬を中止すれば血圧が上がるのと同じ原理です。

そのため主治医と相談しながら、治療をどの程度の期間続けるか計画を立てることが大切です。自己判断での中止はリバウンドのリスクを高めるため、避けていただきたいと思います。

ゼップバウンドの副作用は体重減少に見合うものなのか

ゼップバウンドの主な副作用は吐き気・下痢・便秘といった消化器症状であり、多くは軽度から中等度にとどまります。投与開始初期や増量時に起こりやすく、継続するうちに軽減する傾向が報告されています。

臨床試験で多かった副作用の種類と頻度

SURMOUNT-1試験の15mg群では、吐き気が31.0%、下痢が23.0%、便秘が11.7%、嘔吐が12.2%の頻度で報告されました。いずれも消化器に関連する症状です。

重篤な副作用が発生する割合は低く、治療の中止に至ったケースも全体の5〜7%程度でした。多くの方が副作用と折り合いをつけながら治療を続けられていたといえます。

副作用は用量の段階的な増量で抑えやすい

ゼップバウンドは2.5mgから開始し、4週間ごとに段階的に増量していくスケジュールが組まれています。急激に高用量を投与しないことで、消化器への負担を和らげる設計です。

実際に、副作用の多くは増量の初期段階に集中し、体が薬に慣れるにつれて症状が落ち着いてきます。主治医の指示に従った用量調整を行えば、副作用のリスクを抑えやすいでしょう。

体重が大幅に減ることで得られる健康面のメリット

一方で、20%前後の体重減少は血圧・血糖・脂質などの代謝指標を広く改善することが複数の試験で示されています。肥満に伴う関節への負担や睡眠時無呼吸症候群の軽減も報告されました。

副作用と効果のバランスを考えると、一時的な消化器症状を乗り越えた先に、長期的な健康改善が期待できるといえます。ただし、リスクと効果の判断は個々の体質や持病によって異なるため、必ず主治医と相談してください。

副作用15mg群の頻度プラセボ群の頻度
吐き気31.0%8.0%前後
下痢23.0%8.0%前後
便秘11.7%4.0%前後
嘔吐12.2%2.0%前後

ゼップバウンドで落ちるのは脂肪なのか筋肉なのか|体組成の変化

SURMOUNT-1試験のサブスタディでは、ゼップバウンドで減った体重の約75%が脂肪、約25%が筋肉(除脂肪体重)であったと報告されています。この比率は食事制限や外科手術による減量とほぼ同等です。

DXA検査で測定された脂肪と筋肉の減少割合

160名を対象としたサブスタディでは、DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)という高精度の体組成計測が行われました。72週間でゼップバウンド群の体重は平均21.3%減少し、そのうち脂肪量が33.9%、除脂肪量が10.9%それぞれ低下しています。

一方プラセボ群では体重5.3%減少、脂肪量8.2%減少、除脂肪量2.6%減少でした。両群とも脂肪と筋肉の減少比率はおおむね3対1であり、ゼップバウンドが過剰に筋肉を減らすという懸念は当てはまらない結果です。

項目ゼップバウンド群プラセボ群
体重減少率-21.3%-5.3%
脂肪量減少率-33.9%-8.2%
除脂肪量減少率-10.9%-2.6%

筋肉量の減少を抑えるために運動は欠かせない

75対25の比率は許容範囲とされていますが、運動を行わなければ筋肉の減少割合が大きくなる恐れがあります。とくに筋力トレーニングを取り入れることで、除脂肪量の低下を抑えられることが多くの研究で示されています。

ゼップバウンドを使用する際にも、食事管理と合わせて適度な運動を継続することが推奨されます。薬による食欲抑制効果でカロリー摂取が減る一方、たんぱく質の摂取量を意識して維持することも筋肉量を守る一助となるでしょう。

性別や年齢による体組成変化の違い

サブスタディのサブグループ解析では、性別・年齢・体重減少量にかかわらず、脂肪と筋肉の減少比率は概ね一定でした。女性でも男性でも、50歳以上の方でも同様の傾向が認められています。

年齢を重ねると筋肉量の回復が難しくなるため、中高年の方はより一層、運動とたんぱく質の確保を意識していただきたいところです。主治医や管理栄養士と連携しながら、減量と筋肉維持の両立を図りましょう。

ゼップバウンドは3年使い続けても効果が持続するのか|長期データ

SURMOUNT-1試験の3年間(176週間)延長データでは、ゼップバウンド15mg群で平均19.7%の体重減少が維持されており、長期間にわたる効果の持続が確認されました。さらに、肥満に伴う2型糖尿病の発症リスクも大幅に低下しています。

176週間のデータで見えた持続的な効果

SURMOUNT-1試験の延長解析では、前糖尿病状態(HbA1c 5.7〜6.4%)にあった1,032名を対象に176週間追跡しました。ゼップバウンド群全体で、5mg群は-12.3%、10mg群は-18.7%、15mg群は-19.7%の体重減少率を維持しています。

プラセボ群は-1.3%にとどまっており、3年が経過しても薬の優位性は揺るぎません。長期継続による効果の減弱(いわゆる「効果の頭打ち」)は、少なくともこの試験では確認されていないのです。

2型糖尿病の発症を93%抑えた

前糖尿病から2型糖尿病へ進行した割合は、ゼップバウンド群で1.3%だったのに対し、プラセボ群では13.3%でした。ハザード比は0.07と算出されており、ゼップバウンドによって糖尿病の発症リスクが93%低下したことになります。

投与を中止して17週間が経過した時点でも、糖尿病の発症率はゼップバウンド群2.4%、プラセボ群13.7%と、依然として大きな差が残っていました。減量に加えて糖尿病の予防効果まで実証された点は、肥満治療において画期的な成果です。

3年間の安全性にも大きな問題は認められなかった

176週間の投与期間を通じて、新たに懸念される安全性の問題は報告されていません。副作用の多くはやはり消化器症状で、投与初期の用量調整期に集中する傾向は72週時点のデータと同様でした。

長期間の薬物治療に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、3年間のエビデンスが安全性と効果の両面を裏づけています。担当医と定期的に検査を行いながら治療を続けることで、安心して長期管理に取り組めるでしょう。

投与量72週時の減少率176週時の減少率
5mg16.0%12.3%
10mg21.4%18.7%
15mg22.5%19.7%
プラセボ2.4%1.3%

ゼップバウンドで減量すると日常生活の質はどう変わるのか

体重が10〜20%以上減少した方では、身体機能や心理的なウェルビーイングの改善が顕著にみられました。SURMOUNT-1試験の患者報告アウトカム解析では、体重減少率が大きいほど生活の質(QOL)の改善も大きくなる傾向が報告されています。

体重減少が身体活動と心の両方を改善した

体重減少率身体機能への影響心理面への影響
5%未満軽度の改善わずかな改善
5〜10%中程度の改善中程度の改善
10〜20%大きな改善大きな改善
20%以上顕著な改善顕著な改善

体重が減ると、階段の上り下りや日常の歩行が楽になったと感じる方が増えます。膝や腰への負担が軽くなるため、運動に対する抵抗感が薄れ、活動量が自然と増えていく好循環が生まれやすくなります。

加えて、心理面では自己肯定感の向上や対人関係への前向きな変化が報告されています。体重に対する悩みが軽減されることで、社交面や仕事への意欲にも良い波及効果が出ることは珍しくありません。

睡眠時無呼吸症候群の改善にもゼップバウンドが有効だった

SURMOUNT-OSA試験では、中等度〜重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を伴う肥満患者を対象に、52週間のゼップバウンド投与が行われました。無呼吸低呼吸指数(AHI)は大幅に低下し、体重減少とともに睡眠の質が改善したと報告されています。

睡眠時無呼吸は日中の眠気や集中力の低下を引き起こし、放置すると心血管リスクも高まります。体重を適切に管理することが、呼吸障害の根本的な改善につながるという点で、ゼップバウンドは新たな治療の可能性を示しました。

QOLの改善がさらなる治療継続の動機になる

体が軽くなった実感や日常動作の改善は、治療を続けるモチベーションにもつながります。数値だけでなく、自分自身が「楽になった」と感じられることこそが、長期的な体重管理において大きな原動力となるでしょう。

主治医との診察では、体重計の数字だけでなく、日々の生活で感じている変化をぜひ伝えてみてください。効果の実感を共有することで、よりきめ細やかな治療方針を一緒に組み立てていくことができます。

よくある質問

ゼップバウンドの効果が出始めるまでにどれくらいの期間がかかりますか?

ゼップバウンド(チルゼパチド)は、投与開始から4週間程度で体重減少の傾向が現れ始めるとされています。ただし治療開始後しばらくは2.5mgの低用量から始めるため、はっきりとした減量効果を実感するのは、増量が進む8〜12週目以降になる方が多いでしょう。

SURMOUNT-1試験のサブ解析では、12週時点で5%以上の体重減少を達成した「早期反応者」は82%に上りました。残りの18%の方も、72週時点では平均15%以上の体重減少を達成しているため、効果の発現が遅くても焦る必要はありません。

個人差がありますので、思うように体重が減らない時期があっても自己判断で中止せず、主治医と相談しながら治療を継続していただくことが大切です。

ゼップバウンドはどのような方が使用の対象になりますか?

ゼップバウンドは、BMI30以上の肥満症の方、またはBMI27以上で高血圧・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などの肥満関連合併症を1つ以上お持ちの方が対象です。食事療法と運動療法の補助として使用される薬剤であり、美容目的での処方は適応外となります。

1型糖尿病の方や、甲状腺髄様がんの個人歴・家族歴がある方には使用できません。妊娠中や妊娠を計画している方も対象外です。持病や服用中の薬によっては使えない場合がありますので、まずは主治医に相談されることをお勧めします。

ゼップバウンドとマンジャロは同じ成分の薬ですか?

ゼップバウンド(Zepbound)とマンジャロ(Mounjaro)は、どちらも有効成分がチルゼパチド(tirzepatide)で、同じ製薬会社であるイーライリリー社が開発しました。ただし、承認されている適応症が異なります。

マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、ゼップバウンドは肥満症の治療薬として承認を受けています。有効成分と用量は同一ですが、処方の目的と対象患者が違うため、別の製品名が付けられているのです。

ゼップバウンドの注射は自分で打つことができますか?

ゼップバウンドは、週1回のペースで自己注射を行うタイプの皮下注射薬です。専用のプレフィルドペン型注射器が使用されるため、医療従事者から使い方の指導を受ければ、自宅で簡単に投与できます。

注射部位は腹部・太もも・上腕の背面から選ぶことができ、毎週同じ曜日に投与するのが基本です。注射に慣れていない方でも、ペン型デバイスはボタンを押すだけで投与が完了する仕組みになっているため、痛みや手間は比較的少ないと感じる方が多いでしょう。

ゼップバウンドの体重減少効果はセマグルチドと比べてどちらが大きいですか?

ゼップバウンド(チルゼパチド)はGIPとGLP-1の2つの受容体に作用する「デュアルアゴニスト」であり、GLP-1受容体のみに作用するセマグルチドとは作用の仕組みが異なります。直接比較した肥満治療の大規模試験は現時点では発表されていません。

ただし、2型糖尿病を対象としたSURPASS-2試験では、チルゼパチドがセマグルチド1mgよりも体重減少率において優れた結果を示しました。肥満治療の臨床試験をそれぞれ見比べると、チルゼパチドの方が全体的に大きな体重減少率を記録しています。

とはいえ、どちらの薬が合うかは個人の体質や合併症によって異なります。主治医と十分に話し合ったうえで、自分に合った治療法を選ぶことが重要です。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会