身体やアソコに湿疹が。薬を塗っても治らないし広がっていく…それって、たむしかも?

いんきんたむし、ぜにたむし…たむしって何でしょう。実は水虫と同じ白癬菌(はくせんきん)が原因。どうして白癬菌が悪さをしてしまうのでしょう。

たむしの原因と対策、病院での対応から自宅での乗り切り方までまるっと解説いたします。これであなたもたむしマスター!

この記事のポイント

  • たむしもいんきんたむしも水虫と同じ菌が原因。
  • ステロイドを塗っても治らない赤みはたむしかも?
  • 検査は顕微鏡ですぐできます。
  • 治療は抗真菌薬の塗り薬。副作用はかぶれくらい。
  • 予防は身体を清潔にすること。足の水虫も治そう。
  • 市販薬も適切に使えばいい薬。

この記事を書いた医師

大木皮ふ科クリニック院長大木沙織

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

本文中の上付き数字1)2)3)は論文引用箇所で文末に論文名を記載しています

たむし・いんきんたむしとは

ずばり、たむし・いんきんたむしは水虫の別名です。水虫というと足のイメージがあるかもしれません。しかし、水虫の原因である白癬菌は体中の皮膚ならどこにでも悪さをするもの。

湿った環境が好きなことから足に付きやすいのですが、蒸れていると陰部や身体で繁殖することも。

皮がむける、塗り薬で治すといったことは足の水虫と同じ。

さあ、これからたむしについて学びましょう。

いんきん たむし かゆい

どうしてたむしって言うの?

かつて農民が田んぼで作業しているとき、足がジュクジュクしたり、水ぶくれになる人が続出しました。田んぼの水の中にいる虫が原因では?と考えた人たちは、この現象を「水虫」「田虫」(たむし)と呼ぶように。

たむしの原因

水虫同様、たむしも白癬菌が原因です。白癬菌とはトリコフィトン属 (Trichophyton)の真菌(カビやきのこの仲間)。

その中でもトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)とトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)が原因となりやすいです。

トリコフィトン属の特徴は、ケラチンという皮膚の表面や爪を作る成分を溶かすこと。そしてこじ開けた皮膚の穴から侵入して、皮膚の表面に居候。

ただ居候するだけならいいのですが、それによって皮膚が炎症を起こしてしまいます。

たむし(体部白癬)はそれだけで起こることはあまり多くありません。有名な足水虫はバスマットやスポーツジムの床などじめじめした場所に白癬菌がくっつき、そこを素足で踏むことで広まることに。

一方たむしやいんきんたむしの場合、直接他人の白癬菌がくっつく何かに触れることは多くありません。

足の水虫(足白癬)を放置していると、そこから広がっていくというケースが多いです。そのため、足白癬が原因となることがほとんど。

まっと マット 水虫 みずむし 白癬菌 うつる はくせんきん

また、白癬菌をはじめとした菌はステロイドが大好き。というより、ステロイドは炎症を抑える力がある反面、どうしても免疫を落としてしまいます。

そのため、何らかの治療でステロイドを塗っている場合はそこに白癬菌がくっついて、たむしやいんきんたむしになることが多いです。

ですので皮膚の赤みやかゆみにステロイドを塗っていても治らないどころかどんどん広がっていく場合は、たむしを考える必要があります。

全身の免疫が落ちているともっと大変。病気で免疫が落ちていたり(糖尿病など)免疫を抑える薬を使っていると、たむしにもなりやすくなります。

たむしの症状

白癬菌の特徴は、皮がむけること。皮を溶かして居候しているので、どうしても皮膚がむけてしまうのです。

顔や身体につくたむしは足のようにじゅくじゅく、水ぶくれになることはあまりありません。でも、皮がむけているのは同じ。加えて、皮膚に赤い輪っかのような皮疹ができます(環状紅斑)。

かゆみに関しては、かゆいときもあればそうでないときも。一般的な湿疹と比べて、見た目ほどはかゆくないと思われます。

環状紅斑 かんじょうこうはん たむし 体部白癬 水虫 みずむし

水虫の検査と診断

最初は見た目とエピソードで考えます

白癬菌は皮膚の表面に住み着いているので、皮膚の表面に白癬菌がいるかどうか調べることが検査の基本です。

まずは見た目からたむしっぽいかどうかを判断します。皮がむけていたり、輪っかのような赤みが皮膚に出ていたり、見た目のわりにかゆくなさそうだったり…

エピソードも大切です。ステロイドを塗っても良くならないどころかどんどん広がっていく、足に水虫がいたり家族に水虫の人がいる。

また、免疫が落ちているというような、たむしやいんきんたむしの原因になりそうな話を聞くと、白癬菌がいそうだなと判断します。

次は検査です~一般的な顕微鏡検査と培養検査~

白癬菌がいそうだな、と思うと検査をすることに。まずはむけている皮をとったり、かさかさしている部分を軽くこすって皮をとったりして、白癬菌がいそうな皮膚をいただきます(痛くありません)。

その皮をKOH(水酸化カリウム)という皮膚を溶かす薬で溶かし、潜んでいる白癬菌をあぶり出し、それを顕微鏡で確認し、白癬菌がいるかどうかの診断に。

顕微鏡 けんびきょう kenbikyo

これが一般的な検査ですが、場合によっては培養検査といって皮膚の中にいる白癬菌を育てて確認することも。

顕微鏡の検査はすぐ終わります(白癬菌がいそうでいない場合は少々お時間をいただくかもしれません)が、培養の検査は菌が育つまで時間が数日かかります。

顕微鏡の場合はすぐできることがメリットです。

確認が早いので比較的白癬菌を見つけやすいですが(感度が高い)、白癬菌でないもの(糸くずなど)を白癬菌と間違える(偽陽性)、可能性があります(特異度が低い)。

一方培養検査は逆で、白癬菌がいない場所を取ってしまっても気が付かないので白癬菌を見逃す(偽陰性)可能性が(感度が低い)。

一方でしっかり育てて確認するため、ほかのものと間違えることは少ないと考えます(特異度が高い)。

また培養検査の場合は、どの薬が効きやすくどの薬は効きにくいかという検査(感受性検査)を行うことも可能です。

白癬菌の場合はだいたい効く薬が決まっていますが、中には特定の薬が効きにくい菌(耐性菌)もいるので、なかなか治らない場合は感受性の検査をすることもあります。

薬剤の感受性検査とプラセボとは

感受性検査 かんじゅせいけんさ 培養 ばいよう 細菌検査 さいきんけんさ

菌が繁殖しているシャーレに丸い抗生物質(ディスク)を乗せ、それがどれくらい菌に対して効果を発揮しているかを確認します。

この写真の場合、上以外はディスクの周りに円が。これは阻止円と言って、菌の繁殖を阻止している証拠です。これがあると効果があるとされます。

大きさは関係ありませんが、色が薄いと効果は少ないということに。

一方上は阻止円がなく、ディスクの薬が全く効いていません。おそらく対照実験です。

どんな実験にも対照実験は行われるのですが、同じ条件で薬だけなにも効果がないものにすり替えて、薬もないのに効果が出たり変なことにならないかを確認するためのもの。

「プラセボ」(偽薬)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これも薬の形をした薬の成分が入っていないものを使うことで、薬を使った人と比べてどう違うか、あるいは何が同じかを調べるためのものです。

通常はブラインド試験、盲検試験といって患者さんがどっちを使っているかわからないようにします。

特にダブルブラインド試験、二重盲検比較試験は薬を出す側の人間もどっちを出しているかわからないようにするため、研究の精度が高いとさているのです。

「プラセボ効果」(プラシーボ効果)とは、そういうわけで薬の成分が入っていない偽薬(プラセボ)を使っているのに何らかの効果が出ることを言います。

人の心と体は何とも不思議なもので、実際は効果がない薬でも「こういう薬を使っている」と思い込むだけで身体に変化が起こることがあるのです。良い効果をプラセボ効果、悪い効果をノセボ効果といいます。

プラセボならいいかもしれませんが、検査や研究をするときは薬の効果なのかプラセボ効果なのかわからなくならないように、プラセボ薬(偽薬)を使うことが。

コロナで話題のPCR検査は使えるけど使いません

理論的に可能なこととしてはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応検査)と言って、遺伝子の一部をたくさん増やして白癬菌らしい遺伝子があるかどうかを調べる検査も可能です。

この検査は新型コロナウイルスで大変有名になりましたが、手間とお金がかかる検査なので滅多に行われることはありません。研究などで使う程度でしょうか。

もちろん新型コロナウイルスのようにPCRでしかわからない感染症の場合はそれを行うのが一般的です。

しかしお話ししたように白癬菌はそんなことしなくても簡単に検査ができますので、使わないということになります。

検査前の注意点~水虫の薬は塗らないで~

注意点としては、水虫やいんきんたむしの薬を塗らないで検査をすること。

このような薬を塗ると、皮膚の表面にいる白癬菌が消えてしまいます。

あくまで表面だけなので、奥の方にいる白癬菌は生き残っているのですが、検査では表面しか見ることができませんので「白癬菌はいない」(偽陰性)ということに。

仮に薬を塗ってしまった場合は、2週間程度お休みするとまた白癬菌が表面に戻ってくるので、そのタイミングで再検査すると見つけやすいです。

顕微鏡 けんびきょうけんさ 圧迫 爪水虫 爪が分厚い

見分けるべき似て異なる病気 いわゆる鑑別疾患

赤くなって皮がむけて…という病気はほかにもあります。ですから顕微鏡で白癬菌を見つける必要があるのです。

  • 角化症(こすれなどで出来るかさつき)
  • アトピー性皮膚炎(生まれつき皮膚のバリア機能が弱くて外部からの刺激に皮膚が過敏に反応してしまい、炎症を起こす病気)
  • 慢性湿疹(湿疹をこじらせてガサガサになっていること)
  • 尋常性乾癬(皮膚が異常に角化して、皮がむけたりガビガビになる病気)
尋常性乾癬 乾癬 かんせん kansen かさかさ 皮むけ

などの可能性もあります。

たむしの治療

まずは塗り薬で

まず選ばれるのは、抗真菌薬の塗り薬です。白癬菌をはじめとした真菌が成長するためには「エルゴステロール」という物質が必要。

これは白癬菌の細胞が持つ「ラノステロール」とういう物質が「エルゴステロール」になるという具合に作られるのですが、ラノステロールが変化する流れを抑えるというのが抗真菌薬の原理です。

白癬菌によく使われる薬は「アリルアミン系抗真菌薬」(なんとかフィンという名前の薬)と「アゾール系抗真菌薬」(なんとかァゾールという名前の薬)の2種類。

具体的な名前を挙げると、テルビナフィン(商品名ラミシール)、アモロルフィン(商品名ペキロン)、ラノコナゾール(商品名アスタット)、ルリコナゾール(商品名ルリコン)が代表的な塗り薬です。

大切なことは塗り方。塗ればすぐに白癬菌は皮膚の表面からいなくなります。しかし奥にはまだ生き残っている白癬菌が。数か月塗り続けることで、再発を予防し白癬菌を撲滅することができます。

水虫の薬 みずむしのくすり ルリコン ぺキロン

あまりに範囲が広いときは飲み薬も

すべてに塗ることは大変なので、全身に白癬菌が広がっている場合は、飲み薬(内服薬)で内側から全身に薬を送ることも。

代表的な飲み薬はイトラコナゾール(商品名イトリゾール)、テルビナフィン(商品名ラミシール)、ホスラブコナゾール(商品名ネイリン)。

特に頭に白癬菌がいる場合は塗り薬が届きにくいため、飲み薬を使うこととなります。

テルビナフィン てるびなふぃん ラミシール らみしーる 水虫の薬 みずむしのくすり
ネイリン ねいりん 水虫の薬 みずむしのくすり つめみずむし あしみずむし 爪水虫 足水虫

抗真菌薬と一緒に使うといい薬

あまりに炎症が強く症状もつらい場合は、ステロイドと併せて使うことで症状を抑えることが期待できます。

また、かさつきが強い場合はサリチル酸などの皮膚を柔らかくする薬(角質溶解剤)を一緒に使うと効果的です。

いずれにしても抗真菌薬を使うことが前提で、単体で使っても効果はありません(ステロイドはむしろ水虫が悪化)。

たむし治療の副作用

外用薬の副作用、接触性皮膚炎(かぶれ)

塗り薬(外用薬)の副作用は、薬で皮膚がかぶれること(接触性皮膚炎)が挙げられます。

抗真菌薬の場合は特に過激なことをするので、ほかの塗り薬に比べると接触性皮膚炎を起こすことに。白癬菌がいないのに抗真菌薬を塗っても、かぶれの恐れがあるばかり。

なので、たむしか別の病気かをしっかり診断する必要があるわけです。

仮にかぶれを起こしても大丈夫。ステロイドを塗ればかぶれはすぐに治まりますし、その後の治療はかぶれない別の薬を使えばいいのです。

一方内臓の問題はそこまで気にする必要はありません。皮膚から体内に吸収される薬の量はたかが知れているので、よほど全身に塗りたくらない限りは抗真菌薬の成分が血液の中を巡ることは考えにくいです。

内服薬の副作用は内臓にかかる負担 薬剤性肝機能障害

飲み薬の場合は血液を通して全身に薬を届けるため、副作用も内臓に起こることが。

具体的には抗真菌薬は肝臓という加工工場で処理(代謝)されるため、肝臓に負担がかかることがあります(薬剤性肝機能障害)。

仮に肝臓にダメージが出ても大丈夫です。薬を中止したら、すぐ肝臓は元気を取り戻します。発覚が早ければ早いほどダメージも少なく、復活までの時間もかかりません。

そのためしばらく飲み続ける人は定期的に血液検査をする必要があります。といっても、たむしに抗真菌薬の飲み薬を使うのはほんの一時ですから、問題がわかるころには飲み終わっていることも。

肝臓 かんぞう 肝臓が元気に かんぞうがげんきに 肝機能 かんきのう

たむしの予防方法

たむしになる原因はお話ししました。原因がわかれば防ぐ方法もわかるということで、たむし予防方法をお伝えします。

白癬菌はじめじめが大好き 皮膚の乾燥と清潔を保とう

特にいんきんたむしの場合は陰部の湿気が繁殖の原因に。

あるいはもともと白癬菌がいなくても、陰部が蒸れていることにより湿疹が起こりやすくなるので、その湿疹にステロイドを塗っていると白癬菌が付いていんきんたむしになる可能性が高くなります。

なるべく蒸れないような下着を使うようにしましょう。

未治療の水虫菌を肌に触れさせるべからず

水虫の薬を使っていると、皮膚の表面から白癬菌がいなくなります。検査の時は困るのですが、水虫たむしは皮膚から出てほかの人の皮膚へと広がる病気。

抗真菌薬によって、皮膚から出ていくことを防ぎ、周りへの感染を阻止することが可能です。逆に言うと、未治療の水虫たむしはどんどんモノ、そしてヒトへと生息地を広げていきます。

未治療の水虫持ちさんとは、じめじめしたものを素肌で共有しないことが大切です。家族はもちろん、公共の施設(お風呂、スポーツジムなど)も注意が必要。

仮に白癬菌がくっついても、肌を清潔にしていたら大丈夫、取り付く島もありません。白癬菌がいるかも?と思う場面に遭遇したら、特に皮膚に気を付けてください。

たむし いんきん せいけつ

白癬菌はステロイドが大好き 漫然と意味のないステロイドは使うべからず

お話ししたように、ステロイドを塗った皮膚は白癬菌が好んで住み着きます。ステロイドは炎症を抑える効果があるため、白癬菌の侵入にどうしても弱くなってしまうのです。

必要なところに必要なステロイドを使う分にはそのメリットのほうが白癬菌のデメリットを上回りますが、医師の指示なく「予防的に」ステロイドを塗っているとたむしになる可能性ばかり上がってしまいます。

ステロイドの塗り薬はほかにもいろいろなメリットとデメリットが。医師の指示のもとに正しく使ってほしいです。

予防のために抗真菌薬を塗るのはNG 菌が抗真菌薬に対抗して強くなります

抗真菌薬をあらかじめ塗っておけば、仮に白癬菌が身体に付いても侵入を予防することができるのでは?と考えた人も多いかもしれません。

事実、昨今はスポーツジムなどで予防的に市販の水虫の薬を塗っている人もいると聞きます。でもこの方法、かえって白癬菌が薬に強くなる原因に。

抗真菌薬を含む抗生物質は一気に菌を殺すわけではなく、あくまで化学的にじわりじわりと殲滅する薬(一方で消毒は一網打尽ですが、人間もダメージを受けるので身体にはできません)。

ゆっくり薬が菌を蝕む間、突然変異で薬に負けない菌(耐性菌)が生まれる可能性があります。正しい薬の使い方をしていれば耐性菌が成長する前に感染症に打ち勝つことができます。

ただし、やたらめったら抗生物質を使っていたり、中途半端に菌が生き残っているときに抗生物質を使うのをやめてしまうと耐性菌が大きく成長し菌の集団(コロニー)を牛耳ることに。

そうなると今まで使っていた薬が効かなくなってしまいます(薬剤耐性化)。

民間人が簡単にいろいろな抗生物質を手に入れることができるインドやアメリカと言った国では、いろいろな耐性菌が問題となっています。

ステロイド同様に抗真菌薬をはじめとした抗生物質も、必要な時に必要なだけ使う必要が。

菌 ばい菌 ばいきん 耐性菌 たいせいきん

病院に行かずにたむしを治すには?

そうはいっても明らかにたむしなのに、病院に行く暇がない…という方は多いですよね。

市販の薬でも大丈夫、有効成分は同じです。

CMでも宣伝されているように、水虫の薬は市販でも売られているし、有効成分はお話しした「アゾール系抗真菌薬」か「アリルアミン系抗真菌薬」のいずれかです。

水虫たむしにまず病院受診が勧められるのは、白癬菌がいなかったときに困ってしまうのと、自己流の塗り方をすると白癬菌を撲滅できない可能性があるから。

この二つをクリア出来たら、市販の薬でもなんとかなる可能性が高いです。

テルビナフィン ラミシール gsk グラクソスミスクライン

市販薬の注意点~混ぜ物はかぶれの原因に~

そうは言っても、市販薬の薬では良くならなかったりかえって悪化したりという声もありますね。市販薬の問題は主にふたつ。

<塗り方の指導がされない>

塗り方のポイントはお話しした通り、一見良くなってもしばらく塗り続けること。また、塗る量も大切です。ちびちび使っていては効くものも効きません。

特に市販の薬はそれなりの値段なのでちびちび使いがちな人も。医療機関では適切な塗り方の指導がありますが、市販薬ではそれがありません。

こうしてたむしが治らないということに繋がります。

<有効成分以外の成分が入っている>

皮膚科に行くと、大体の場合はチューブで混ぜ物なしの薬が処方されると思います(お話しした通り、一緒に使うといい薬を使いたいときは混ぜることも)、

しかし市販の薬だと、有効成分以外に「おまけ」が付いていることが多いです。

ラシミールプラス

有効成分(テルビナフィン)に加えて

  • かゆみどめ成分(クロタミトン)
  • 抗炎症成分(グリチルリチン酸)
  • 角質を柔らかくする成分(尿素)
  • 清涼感をもたらす成分(l-メントール)

が入っています。(公式ページより引用)

お話しした「一緒に使うといいかもしれない薬」はステロイドや角質を柔らかくする薬。

後者は尿素が該当します(ただし、皮膚の状態が悪いとヒリヒリすることも)が、ステロイドは含まれていません。

(医師の判断の元で使わないとかえってたむしが悪化する可能性があるため、市販ではこのような薬は購入できないと思われます。)

一方ほかの成分はどうでしょうか。たむし治療に全く貢献しない薬が並んでいます。ここで問題なのが、塗り薬に付きまとう副作用「接触性皮膚炎(かぶれ)」。

特にメントール(スースーする成分)はかぶれを起こしやすいです。

基本的に医師が調合したものでない混ぜ薬は混ぜれば混ぜるほどかぶれのリスクが上がると思ってください。

抗真菌薬以外の治し方は?

欧米では自然派の方々が薬草を使って病気を治す習慣があります。また、中国では漢方を使った医学も発展しています。

ドラッグストア 薬局 ドイツ ヨーロッパの薬局

ただ、残念ながら現在たむしに効く方法は、抗真菌薬以外良い方法が見つかっていないのが現状です。

ドイツでは強いたむし専用の酸や塩水に身体をつけて治すとか…それでも何年もかかるようで、恐ろしいですね。

塩水 死海 しかい しおみず

注意点とまとめ

  • たむしやいんきんたむしの正体は水虫の菌、白癬菌。水虫を放置している人は要注意。
  • ステロイドを塗っても治らない、悪化する皮膚の赤みかゆみはたむしかも?
  • 検査は顕微鏡ですぐできるけど、たむしの薬は塗らないで。
  • 治療の基本は抗真菌薬の塗り薬。正しい塗り方で再発を予防しよう。
  • 予防には白癬菌が身体を侵食する前に撃退すること。
  • 方法さえ間違えなければ市販の薬でもなんとかなるかも?