
日本糖尿病学会は、合併症を防ぐためのHbA1cの目安を7.0%未満と示しています。ビクトーザでHbA1cを下げていくときも、この数字が治療の中心線になります。
ただし7.0%未満は全員に当てはまる線ではなく、年齢や罹病期間、低血糖の起こりやすさ、支えてくれる人の有無まで見たうえで、主治医が一人ひとり別に決めます。
HbA1cは1回の採血で分かる数字でありながら、映しているのは過去1〜2か月の平均であり、1点の上下だけで治療の良し悪しを判断できません。
指標そのものの読み方、目標が動く条件、測る間隔、そして食事や運動と続ける工夫まで順に見ていきます。
ビクトーザ治療で見るHbA1cは何を映した数値?
HbA1cが映すのは、採血したその瞬間の血糖ではなく、直前1〜2か月の平均的な高さです。赤血球の中のヘモグロビンにブドウ糖が結びついた割合を見ているため、赤血球が入れ替わる期間ぶんの記憶が数字に残ります。
1〜2か月ぶんの血糖が1つの数字に畳まれる
血液中のブドウ糖はヘモグロビンと少しずつ結合し、いったん結びつくと赤血球が寿命を終えるまで離れません。赤血球の寿命はおよそ120日あるため、HbA1cはその期間の血糖の高さを重みづけしながら平均した値になります。
採血の前日だけ食事を控えても、数字はほとんど動きません。逆に、旅行や年末年始のような数日の乱れが全体を大きく押し上げるわけでもなく、平凡な毎日の積み重ねのほうが色濃く反映されるといえます。
ビクトーザを始めた直後に測った1回目の値には、開始前の期間が混ざっています。治療の手応えを読み取るなら、投与を続けた期間が十分に含まれる2回目以降の値まで並べたほうが、判断の材料になりやすいでしょう。
空腹時血糖や食後血糖とは見ている範囲が違う
空腹時血糖と食後血糖は測ったその時点の1点を切り取った値であり、直前の食事や運動、睡眠の影響をそのまま受けます。面をならしたHbA1cとは役目が違うので、どちらかが要らないという関係にはありません。
日本糖尿病学会の診療ガイドラインは、合併症予防のHbA1c 7.0%未満に対応する目安として、空腹時血糖130mg/dL未満、食後2時間血糖180mg/dL未満という値を併記しています。2つの物差しが結ばれている点は、家庭でも血糖を測る人ほど役に立ちます。
| 指標 | 映している範囲 | 主に分かること |
|---|---|---|
| HbA1c | 過去1〜2か月の平均 | 治療全体の方向と傾き |
| 空腹時血糖 | 採血したその時点 | 夜間から早朝の血糖の底 |
| 食後2時間血糖 | 食事の後の1点 | 食事内容と量の影響 |
HbA1cが実際の血糖からずれる場面
赤血球の寿命が短くなる状態では糖と結びつく時間そのものが足りず、HbA1cが実際の血糖より低めに出ます。溶血性貧血や出血の直後、輸血を受けた後などが当てはまります。
反対に、鉄欠乏性貧血が治りきっていない時期などでは高めに振れる場合もあり、腎不全やヘモグロビン異常症でも数字と実際の血糖が離れます。妊娠中は鉄代謝の影響を受けるため、日本糖尿病学会も自己血糖測定に基づく目標を優先すると述べています。
そのためHbA1cだけで治療の可否を決められず、主治医は貧血の有無や腎機能もあわせて確認したうえで、必要に応じてグリコアルブミンなど別の指標を組み合わせます。
ビクトーザのHbA1c目標値は日本糖尿病学会が示す3つの目安から選ぶ
目標値は1つではありません。日本糖尿病学会の診療ガイドラインは、血糖正常化を目指す6.0%未満、合併症予防のための7.0%未満、治療強化が難しいときの8.0%未満という3つを並べ、患者ごとに選ぶよう求めています。
| 目標値 | ねらい | 想定される状況 |
|---|---|---|
| 6.0%未満 | 血糖の正常化 | 食事と運動だけで達成できる、または低血糖なく薬で達成できる |
| 7.0%未満 | 合併症の予防 | 多くの2型糖尿病の人に置かれる中心線 |
| 8.0%未満 | 安全側への調整 | 低血糖などの理由で治療強化が難しい |
合併症予防の7.0%未満が出発点になる
網膜症や腎症、神経障害といった細い血管の合併症を防ぐ観点から、日本糖尿病学会は7.0%未満を合併症予防の目標に据えています。ビクトーザを含む薬物療法を組み立てるときも、まずこの線からどれだけ離れているかを見ます。
この7.0%という値は、空腹時血糖130mg/dL未満、食後2時間血糖180mg/dL未満に対応する目安として設定されました。日々の自己測定と外来の採血が、同じ地図の上でつながる形になっています。
ただし出発点であって、全員の到達点ではありません。ガイドラインは年齢、罹病期間、臓器障害の有無、低血糖の危険性、そして支援体制を踏まえて個別に決めるよう明記しています。
6.0%未満を目指せるのはどんな人?
血糖正常化を目指す6.0%未満は、食事療法と運動だけで血糖を整えられる人、あるいは薬を使っても低血糖を起こさずに達成できる人を想定した目標です。診断からの期間が短く、合併症も進んでいない場合に候補となります。
ビクトーザは単独では低血糖を起こしにくい薬なので、この枠に入れる人が広がる余地はあります。もっともスルホニル尿素薬やインスリンを併用していれば話は変わり、低血糖の危険性を先に評価しなければなりません。
8.0%未満にとどめる判断もある
低血糖の危険性が高い、あるいは他の理由で治療を強めにくい人には、8.0%未満という目標が置かれます。手を抜いた設定ではなく、強化に伴う不利益のほうが大きいと判断した結果の線引きです。
ガイドラインはさらに、多剤併用で副作用が出やすい状態や、重い併存疾患・支援の乏しさがある高齢者について、8.5%未満まで許容しうると記しています。数字の緩和は安全のための設計だと受け止めてよいでしょう。
年齢や合併症でビクトーザのHbA1c目標が動く理由
同じ7.0%でも、20年先の合併症を防ぎたい50代と、低血糖による転倒を避けたい80代では意味が変わります。だから目標は、次のような要素をそろえて眺めたうえで決まります。
- 年齢と診断からの期間
- 心臓・腎臓・目・神経の合併症
- 重症低血糖の起こりやすさ
- 認知機能と日常生活動作
- 家族や介護からの支援体制
高齢者は認知機能と日常生活動作でカテゴリーが分かれる
日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会は、65歳以上について認知機能と日常生活動作の状態から3つのカテゴリーに分け、それぞれに目標を示す枠組みを作りました。買い物や服薬管理といった手段的日常生活動作が保たれているかどうかも判定に入ります。
この枠組みでは、合併症予防のための7.0%未満という考え方は高齢者にも共通しつつ、食事と運動だけで整う人には6.0%未満、強化が難しい人には8.0%未満という幅が用意されています。年齢だけで一律に緩めるわけではありません。
この枠組みが実臨床でどう働いたかを調べた日本の報告もあります。もの忘れ外来に通う65歳以上の糖尿病1,436人を、2012年から2020年まで追った横断研究です。
期間を通じてHbA1cは上昇した一方、下げすぎに当たる人と、重症低血糖のおそれがある薬を使う人の割合はいずれも減っていました。低血糖を避ける方向へ診療が動いた表れだと考えられます。
低血糖のおそれがある薬を使うときは下限も置く
スルホニル尿素薬やインスリンのように重症低血糖を起こしうる薬を使う高齢者では、上限だけでなく下限も設定されます。低すぎる数字が危険信号になるという発想は、若い世代の目標にはあまり出てきません。
一方、これらの薬を使っていない場合には下限を定めない扱いになっています。ビクトーザ単独であれば下限を置かない側に入りますが、併用薬の組み合わせしだいで判断は変わるため、処方全体を見ないと決められません。
HbA1cは低ければ低いほど良いわけではない
日本糖尿病学会の診療ガイドラインは、高齢者においてHbA1cと大血管症・死亡との間にJカーブ現象が見られるとし、高い値だけでなく低い値にも注意を促しています。厳格な管理よりも安全性を重視した管理を勧める記述もあります。
数字が下がったこと自体が良い知らせとは限らず、食が細くなった結果として下がっている場合もあります。体重や食事量、ふらつきの有無まで含めて読むと、同じ数字の意味が変わってきます。
一時的に上がった数字にあわてて手を加えない
体調を崩した時期の高い血糖に反応して薬を強めても、長い目で見た数字が良くなるとは限りません。米国の退役軍人保健局のデータで、65歳以上の糖尿病患者5,296人を傾向スコアで対応づけた研究がその点を示しています。
退院時に糖尿病薬を強めた群では、30日以内の重症低血糖の危険が高く、ハザード比は2.17(95%信頼区間 1.10〜4.28)でした。
一方、1年後のHbA1cは強化群7.72%、非強化群7.70%であり、差分の差は0.02%(95%信頼区間 -0.12%〜0.16%)にとどまっています。短期の入院は長期の管理を変える場面ではない、というのが著者らの結論でした。
ビクトーザのHbA1cをどの間隔で測り、どう記録するか
1点の値ではなく傾きで判断するため、外来ごとの測定をおおむね1〜2か月おきに重ねていくのが基本になります。数字が動いた理由を後から辿れるよう、体重や食事の変化も同じ紙面に並べておくと読み解きやすくなります。
1〜2か月おきに測ると変化が読める
HbA1cが直前1〜2か月の平均を映す以上、それより短い間隔で測っても前回と重なる期間が大きく、変化として現れにくくなります。外来の間隔が測定の間隔とほぼ一致するのは、この性質に沿った設計です。
逆に間隔が空きすぎると、目標から離れている期間が長引きます。薬を調整した直後や、食事・仕事の環境が大きく変わった時期は、通常より早めの再検査を主治医が提案する場合もあります。
1回の上下より3回ぶんの傾き
HbA1cには測定上のばらつきもあり、0.1%程度の差を治療の成否として読むと判断を誤ります。3回ぶんを並べて上向きか下向きかを見るほうが、はるかに安定した手がかりになります。
下がり方が鈍ったとき、原因は薬だけとは限りません。食事の量や内容、活動量、睡眠、他の病気の治療、さらには打ち忘れの回数まで、複数の要素が同じ数字に重なって現れます。
家庭の記録が数字の理由を説明する
診察室で分かるのは採血の結果だけであり、その裏側にある2か月ぶんの生活は本人しか知りません。簡単な記録を持参すると、目標に届かない原因の見当がつきやすくなります。
細かく完璧に書く必要はなく、体重を週1回、打ち忘れた日に印を付ける程度でも十分に役立ちます。むしろ続けられる粗さで残したほうが、途切れずに情報がたまります。
| 記録するもの | 頻度の目安 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 体重 | 週1回・同じ時間帯 | 食事量と活動量の傾き |
| 注射した日と時間 | 毎日 | 打ち忘れの頻度と偏り |
| 吐き気などの症状 | あった日だけ | 増量の可否と食事の工夫 |
食事と運動はビクトーザのHbA1c改善をどこまで押し上げるか
薬だけで目標に届くとは限りません。日本糖尿病学会の指針は、適切な食事療法と運動を2〜3か月続けても良好な血糖コントロールが得られないときに経口薬やGLP-1受容体作動薬を加えると述べており、生活の調整は薬を始めた後も土台として残ります。
食事の組み立てを変えた試験で動いたHbA1c
中国の9施設で行われたEARLY試験は、新たに2型糖尿病と診断された過体重・肥満の405人を3群に割り付け、16週間観察しました。開始時の平均HbA1cは7.9%(標準偏差0.6%)、平均年齢は45.5歳(標準偏差11.0)でした。
週2日を非連続の絶食日とし、残り5日を通常摂取とする食事置換群では、16週でHbA1cが最小二乗平均-1.9%(標準誤差0.2%)動きました。
メトホルミン群は-1.6%、エンパグリフロジン群は-1.5%で、調整後の差はそれぞれ-0.3%(95%信頼区間 -0.4%〜-0.1%)、-0.4%(95%信頼区間 -0.6%〜-0.2%)でした。
米国で2型糖尿病と肥満のある75人を6か月追った無作為化試験では、1日8時間の時間制限食でHbA1cが-0.91%(95%信頼区間 -1.61%〜-0.20%)動いています。
25%のカロリー制限では-0.94%(95%信頼区間 -1.59%〜-0.30%)で、両者に差はありません。いずれもビクトーザではなく、食事の設計そのものを変えた研究です。
| 報告 | 介入 | HbA1cの変化 |
|---|---|---|
| EARLY試験(405人・16週) | 週2日の絶食と食事置換 | -1.9%(標準誤差0.2%) |
| 同試験の対照群 | メトホルミン | -1.6%(標準誤差0.2%) |
| 時間制限食の試験(75人・6か月) | 1日8時間の時間制限食 | -0.91%(95%信頼区間 -1.61%〜-0.20%) |
体を動かす時間をどこに置くか
運動は筋肉での糖の取り込みを増やし、食後の血糖の上がり方をなだらかにします。まとまった時間が取れない日でも、食後に10分ほど歩く習慣を挟めば、1日の血糖の山をならしやすくなります。
ビクトーザを使い始めた時期は吐き気が出る人もいるため、無理な強度から入ると続きません。体調が落ち着いてから少しずつ量を増やすほうが、結果として長い期間の平均を押し下げます。
早い時期に目標へ近づけておく意味
診断から間もない時期の血糖の高さは、後年の合併症に影を落とします。イタリアの臨床レジストリで、新規に2型糖尿病と診断され心血管疾患のない251,339人を解析した研究がこれを示しました。
診断後3年間の平均HbA1cが8%を超えていた群は、7%以下だった群に比べ、その後の心血管イベントの危険が高く、ハザード比は1.33(95%信頼区間 1.063〜1.365)でした。平均追跡期間は4.6年(標準偏差2.9年)です。
この現象はレガシー効果と呼ばれ、早い段階で目標に近づけておく価値を裏づけます。焦って一気に下げる話ではなく、届かない状態を何年も放置しないという話だと受け取ってください。
打ち忘れと自己判断がビクトーザのHbA1cを揺らす
続けられるかどうかが結果を大きく分けます。
スペインの電子カルテを用いた実臨床研究では、GLP-1受容体作動薬を使う人の2年後の継続率が、使っていない群の72.7%に対し48.4%にとどまり(p<0.0001)、目標に届く前に治療から離れた人が少なくないと分かります。
実臨床でどれくらいHbA1cが下がったか
フランス・ドイツ・イタリアで注射薬を初めて使う2型糖尿病の人を追ったTROPHIES試験では、リラグルチドを開始した991人のHbA1cが24か月で-11.91mmol/mol(-1.09%)、体重が-3.3kg動きました。
同時に比較されたデュラグルチド群は-11.80mmol/mol(-1.08%)、-3.5kgという結果でした。
一方、24か月のあいだに治療内容の大きな変更が入った割合は、リラグルチド開始群が45.2%、デュラグルチド開始群が28.2%であり、続けやすさには差がありました。1日1回のビクトーザは、生活へ組み込む工夫がそのまま数字に響くタイプの薬だといえます。
毎日同じ時間に打つ設計にする
打ち忘れを減らす近道は、意志の力を当てにせず、既にある習慣にくくりつけてしまうやり方です。朝の歯みがきの前、あるいは夕食後の食器を片づけた直後といった具合に、順番を固定すると忘れにくくなります。
ペンと針、保冷の要否をひとまとめにして置き場所を決めておくと、旅行や出張でも流れが崩れません。打ち忘れた日を記録に残しておけば、外来でHbA1cが伸び悩む理由を主治医と共有できます。
ビクトーザ皮下注18mgの販売終了と治療の続け方
ビクトーザ皮下注18mgは、製造販売元であるノボ ノルディスク ファーマの発表により、2026年後半に販売終了となります。発表の時点では通常どおりの出荷が続いており、2026年以降に順次切り替えを進めるよう同社が呼びかけています。
HbA1cは直前1〜2か月の平均を映す指標なので、注射が途切れた期間はそのまま次の採血の数字に残ります。販売終了という言葉に反応して自己判断で中断すると、下向きにしてきた傾きが再び上を向きかねません。
今後どう続けるかは、処方を受けている医療機関で決める事柄です。次の診察の際に、いつまで手元の薬で進められるのか、切り替えをどう組み立てるのかを主治医に尋ねておくと、慌てずに移れます。
用量を自分で増やしたり減らしたりしない
ビクトーザは少ない量から始め、1週間以上の間隔をあけながら段階的に増やす設計で、日本で承認されている1日あたりの上限は1.8mgです。増やす速さは吐き気や食欲の変化を見ながら医師が判断します。
HbA1cが思うように下がらないからと自分で量を増やすと、消化器症状が強まって続けられなくなり、かえって平均血糖が上がる展開になりかねません。逆に副作用がつらいときも、黙って減らすより先に相談したほうが調整の幅が広がります。
- 打つ時刻を毎日そろえる
- 打ち忘れた日を記録に残す
- 増量と減量は必ず診察で決める
- 併用薬の変更を主治医に伝える
ビクトーザでHbA1cを下げる治療と、ダイエット目的で使う場合の違い
日本でビクトーザが承認されているのは2型糖尿病の効能であり、HbA1cを下げる目的の処方はその範囲に入ります。体重を落とす目的で使う場合は承認された効能から外れる適応外使用となり、公的医療保険は使えません。
承認されている効能は2型糖尿病
ビクトーザの有効成分リラグルチドは、日本では2型糖尿病の治療薬として承認されています。血糖を下げる働きが認められた薬であり、痩せるための薬として売り出されているわけではありません。
実際、第二選択薬としての実力を米国の請求データで比べた研究では、リラグルチド開始群5,569人のHbA1cが7.0%以上へ戻るまでの期間の中央値が624日(95%信頼区間 567〜731)でした。
グリメピリドの439日やシタグリプチンの461日より長く保たれており、血糖を目標域にとどめる薬として評価された形です。
ダイエット目的は適応外使用で全額自己負担
糖尿病ではない人が体重を落とす目的で使う場合、承認された効能の外側にあたる適応外使用となり、自由診療として全額自己負担になります。診察料も薬剤費も針の代金も、健康保険の枠外で計算されます。
費用の設定は医療機関ごとに異なり、継続を前提とする治療なので月単位で積み上がっていきます。受診の前に、1か月あたりの総額と、途中でやめた場合の扱いまで確認しておくと迷いが減ります。
サクセンダは同じ成分でも日本では未承認
肥満症向けに海外で用いられているサクセンダは、ビクトーザと同じリラグルチドを含みながら1日あたり最大3.0mgまで増やす設計で、日本では承認されていません。当院を含め、扱う場合は自由診療という位置づけになります。
成分が同じでも、用量の上限も、想定される対象も、入手の経路も別物です。HbA1cの目標に沿って進める糖尿病の治療と、体重を目的とする自由診療を、同じ話として扱わないほうが安全でしょう。
主な副作用と注意したい症状
最も多いのは吐き気、嘔吐、下痢、便秘といった消化器の症状で、増量した直後に出やすく、多くは体が慣れるにつれて和らぎます。単独では低血糖を起こしにくい薬ですが、スルホニル尿素薬やインスリンと併用すると危険性が上がります。
頻度は高くないものの、急性膵炎や胆石・胆嚢炎が報告されています。背中に抜けるような強い腹痛が続く、嘔吐が止まらない、皮膚や白目が黄色くなるといった変化があれば、次の予約を待たずに受診してください。
| 使う目的 | 制度上の位置づけ | 費用の扱い |
|---|---|---|
| 2型糖尿病の血糖管理 | 承認された効能の範囲 | 公的医療保険の対象 |
| 体重を落とす目的 | 適応外使用 | 自由診療で全額自己負担 |
| サクセンダの使用 | 日本では未承認 | 自由診療で全額自己負担 |
よくある質問
ビクトーザを使うとHbA1cはどのくらい下がりますか?
下がり幅は開始時の値や併用薬、生活の状況で変わるため、一律の数字をお示しできません。参考として、欧州3か国でリラグルチドを開始した991人を追った実臨床の研究では、24か月でHbA1cが-11.91mmol/mol(-1.09%)動いていました。
これは平均であり、同じ経過をたどるとは限りません。自分の場合にどこまで見込めるかは、検査値と併用薬をそろえたうえで主治医と確認するのが確実です。
ビクトーザ使用中のHbA1cはどのくらいの間隔で測りますか?
外来ごとにおおむね1〜2か月おきという間隔が一般的です。HbA1cが直前1〜2か月の平均を映す指標なので、それより短い間隔では前回と重なる期間が大きく、変化として読み取りにくくなります。
用量を変えた直後や体調が大きく動いた時期には、通常より早めの再検査を勧められる場合もあります。間隔は病状に応じて主治医が決めます。
ビクトーザのHbA1c目標値は誰でも7.0%未満ですか?
いいえ、全員が同じではありません。日本糖尿病学会の診療ガイドラインは、血糖正常化を目指す6.0%未満、合併症予防のための7.0%未満、治療強化が難しいときの8.0%未満という3つを示しています。
そのうえで年齢や罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、支援体制まで踏まえ、一人ひとり個別に決めるよう求めています。
高齢者では認知機能と日常生活動作でカテゴリーを分ける枠組みも用意されています。自分の目標値がどれに当たるかは、診察で主治医に確認するのが確実です。
HbA1cが下がらないとき、ビクトーザの量を自分で増やしてもよいですか?
自己判断での増減は避けてください。ビクトーザは少ない量から始めて段階的に増やす設計で、増量の速さは吐き気などの出方を見ながら医師が決めます。
急に増やすと消化器症状が強まり、続けられなくなって平均血糖がかえって上がる展開もありえます。下がり方が鈍いと感じたら、打ち忘れの回数や食事の変化とあわせて診察で相談すると調整の幅が広がります。
貧血があるとビクトーザ使用中のHbA1cは正しく評価できますか?
貧血の種類によっては、HbA1cが実際の血糖からずれます。赤血球の寿命が短くなる溶血性貧血や出血の直後、輸血後などでは低めに出やすく、鉄欠乏性貧血が治りきっていない時期には高めに振れる場合もあります。
腎不全やヘモグロビン異常症でも同じ問題が起きるため、主治医は貧血の有無や腎機能を確認したうえで数字を読み、必要に応じてグリコアルブミンなど別の指標を組み合わせます。
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