ビクトーザのLEADER試験から読む、心血管イベントの抑制効果と安全性

ビクトーザのLEADER試験から読む、心血管イベントの抑制効果と安全性

ビクトーザ(リラグルチド)の心血管への影響を確かめたのがLEADER試験で、2型糖尿病があり心血管リスクの高い9,340人を、追跡期間の中央値3.8年にわたって追いかけた二重盲検の試験です。

主要な複合評価項目が起きたのはリラグルチド群の13.0%、プラセボ群の14.9%で、ハザード比は0.87(95%信頼区間0.78〜0.97)でした。腎臓のアウトカムも同じ試験から報告されています。

ただし使われた用量は2型糖尿病の治療として設定された1日1.8mgまでで、参加者も心血管リスクの高い集団に寄っていました。どこまでが確かめられた範囲なのかは、設計まで戻らないと見えてきません。

目次 Outline

ビクトーザのLEADER試験はどんな設計で組まれたのか

リラグルチドを2型糖尿病の治療に加えたときに心血管のできごとが増えないかを確かめる目的で組まれた、第3b相の国際共同試験です。2010年9月に開始し、32か国410施設で9,340人が登録されました。

項目LEADER試験の設定
開始と登録終了2010年9月開始・2012年4月に登録終了
規模32か国410施設・9,340人
割り付けリラグルチドかプラセボへ二重盲検で無作為に振り分け
用量1日1.8mgまで
追跡最長5年・中央値3.8年
主要評価項目心血管が原因の死亡・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中の複合

心血管の安全性を確かめるために始まった試験

糖尿病は冠動脈の病気や脳卒中、心血管が原因の死亡といった幅広いできごとの危険をおよそ2倍に高めます。そのため血糖を下げる薬にも長期の影響を測る枠組みが求められ、リラグルチドを正面から評価するために組まれたのがこの試験でした。

参加できたのは、薬をまだ使っていない人と、経口の血糖降下薬や決められた種類のインスリンで治療中の2型糖尿病の人です。ふだんの治療はそのまま続け、そこへリラグルチドかプラセボを上乗せしました。

登録は2012年4月に締め切られ、参加者は最長5年にわたって追跡されました。資金はノボ ノルディスク社と米国立衛生研究所が出しており、登録番号はNCT01179048です。

主要評価項目は3つのできごとをまとめた複合指標

主要評価項目に据えられたのは、無作為化から心血管が原因の死亡・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中のいずれかが初めて起きるまでの時間でした。3つを1つの指標にまとめる形は、心血管の試験で広く使われています。

まとめる理由は単純で、1つずつ数えると起きる回数が少なすぎて差を拾えないからです。実際この試験で最初のできごとが記録された回数は、全体で1,302件にとどまりました。

まず増えていないかを確かめる非劣性という枠組み

この試験の第一の仮説は、リラグルチドがプラセボに対して劣っていないという非劣性でした。ハザード比の95%信頼区間の上限が1.30を超えないかどうかが、その判定の境目に置かれています。

つまり出発点にあった問いは「減らせるか」ではなく「増やしていないか」です。減る側へ振れた結果は、その次の段階として優越性の検定で確かめられました。

もう一つ押さえておきたいのは、事前に定めた探索的な評価項目に多重性の調整を行っていないと論文自体が明記している点でしょう。副次的な数字は参考として読むのが、書かれたとおりの受け取り方です。

ビクトーザのLEADER試験に参加した9,340人はどんな集団だったのか

心血管リスクの高い2型糖尿病の人たちで、8割は心血管疾患をすでに抱えていました。平均年齢は64.3±7.2歳、平均BMIは32.5±6.3で、64.3%が男性です。

組み入れの条件は年齢と心血管の状態で二手に分かれる

集められたのは性格の違う2つの集団で、1つは50歳以上で心血管疾患のある人、もう1つは60歳以上で心血管の危険因子を1つ以上持つ人でした。前者が7,592人(81.3%)、後者が1,748人(18.7%)を占めます。

すでに心筋梗塞や脳卒中を経験した人が8割を超える構成は、健診で血糖を指摘された段階の人とはかなり違います。もともとできごとが起きやすい集団だからこそ、3年あまりの追跡で差を測れたともいえるでしょう。

32か国410施設から集まった参加者の内訳

参加者は32か国の410施設から登録され、リラグルチド群4,668人とプラセボ群4,672人にほぼ半々で振り分けられました。地域も治療の中身も幅のある集団です。

項目数値備考
平均年齢64.3±7.2歳50歳以上または60歳以上が条件
男性の割合64.3%
平均BMI32.5±6.3BMI 25未満は9.1%のみ
心血管疾患の既往7,592人(81.3%)残る1,748人(18.7%)は危険因子のみ

割り付けの比率はほぼ1対1で、群ごとの背景にも大きな偏りは見られませんでした。人数がそろっているぶん、後に出てくる人数と割合はそのまま読み比べられます。

体格の広がりは肥満の側へ大きく寄っていた

平均BMIは32.5±6.3で、BMIが25を下回った人はわずか9.1%でした。腹囲が健康的な範囲に収まっていた人も、指標の定義によっては6.4%にとどまります。

体格の偏りは血圧や脂質の管理状況とも結びついており、肥満のある人ほど降圧薬やインスリンを含む治療が濃くなっていました。それでも血圧や脂質の到達度は十分とはいえない水準です。

肥満のある人が大半を占める集団でしたが、試験の目的はあくまで心血管のできごとを数えることであって、体重を減らすことではありません。

ビクトーザのLEADER試験で心血管イベントはどれだけ減ったのか

主要な複合評価項目はリラグルチド群で13.0%、プラセボ群で14.9%となり、ハザード比0.87(95%信頼区間0.78〜0.97)という結果でした。非劣性の検定はp<0.001、優越性の検定はp=0.01です。

主要な複合評価項目は13.0%対14.9%

心血管が原因の死亡・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中のいずれかが初めて起きたのは、リラグルチド群4,668人中608人(13.0%)、プラセボ群4,672人中694人(14.9%)でした。増えていないかを確かめる設計でしたが、結果は減る側へ振れています。

とはいえ絶対差は1.9ポイントほどにとどまります。100人が3年以上使って2人前後の差、という受け取り方のほうが実感に近いのではないでしょうか。

心血管が原因の死亡と全死亡でも差が出た

心血管が原因で亡くなった人はリラグルチド群219人(4.7%)、プラセボ群278人(6.0%)で、ハザード比0.78(95%信頼区間0.66〜0.93)、p=0.007と報告されました。差の幅は1.3ポイントほどです。

あらゆる原因による死亡も381人(8.2%)対447人(9.6%)となり、ハザード比0.85(0.74〜0.97)、p=0.02という数字が出ています。死亡という動かしにくい指標で差がついた点は、この試験がよく引用される理由の一つでしょう。

評価項目リラグルチド群プラセボ群
主要な複合評価項目608人(13.0%)694人(14.9%)
心血管が原因の死亡219人(4.7%)278人(6.0%)
あらゆる原因による死亡381人(8.2%)447人(9.6%)

群の人数がほぼ同じなので、人数の差はそのまま割合の差として読めます。3行とも同じ方向を向いていました。

個々のできごとでは有意差に届かなかった

複合指標を組み立てている個々の項目に目を移すと、非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心不全による入院はいずれもリラグルチド群のほうが低いものの、統計として有意な差には届いていません。良い方向を向いた数字でも、単独で言い切れる強さは持たないわけです。

複合指標が動いたときに、どの内訳が押し上げたのかを1つずつ確かめられないのは、この形の指標に共通する弱みです。9,340人を3年以上追いかけてもなお、個々のできごとは数が足りませんでした。

そのため確かめられた範囲は、3つをまとめた指標が下がったところまでになります。心筋梗塞が減った、脳卒中が減ったと個別に言い切れる材料は、この試験からは出ていません。

ビクトーザのLEADER試験が示した腎臓のアウトカム

腎臓についても、あらかじめ副次の評価項目として結果が用意されていました。複合腎アウトカムはリラグルチド群4,668人中268人、プラセボ群4,672人中337人で、ハザード比0.78(95%信頼区間0.67〜0.92)、p=0.003です。

複合腎アウトカムは268人対337人

この複合には、持続する顕性アルブミン尿の新規発症・血清クレアチニンが持続して倍になること・末期腎不全・腎疾患による死亡の4つが含まれます。追跡期間の中央値は3.84年でした。

心血管の主要評価項目と違い、こちらは最初から副次の位置に置かれた解析でした。事前に決めてあった点は大切な条件ですが、多重性の扱いには同じ注意が要ります。

差の大半は顕性アルブミン尿の新規発症から生まれた

内訳を見ると、持続する顕性アルブミン尿が新たに現れた人は161人対215人で、ハザード比0.74(95%信頼区間0.60〜0.91)、p=0.004でした。複合の差はほぼこの項目が押し上げています。

アルブミン尿は腎臓の傷みを早い段階で映す指標で、透析や腎移植が必要になる状態とは距離があります。腎機能そのものが守られたと読み替えるには、もう一段の証拠が要るところでしょう。

腎臓の項目リラグルチド群プラセボ群
複合腎アウトカム268人/4,668人337人/4,672人
顕性アルブミン尿の新規発症161人215人
腎有害事象(1,000患者年あたり)15.1件16.5件
急性腎障害(1,000患者年あたり)7.1件6.2件

腎臓の有害事象そのものは両群で近い水準

腎有害事象の発生率は1,000患者年あたり15.1件と16.5件、急性腎障害は7.1件と6.2件で、どちらも両群が近い水準にとどまりました。腎臓に負担がかかる向きの変化は目立ちません。

慢性腎臓病と糖尿病を併せ持つ人を対象に、42試験48,148人を集めた2025年のコクランのレビューもあります。GLP-1受容体作動薬とプラセボを比べた全死亡のリスク比は0.85(0.74〜0.98)です。

3項目からなる主要心血管イベントのリスク比は0.84(0.73〜0.98)で、どちらも中等度の確実性という評価でした。ただし追跡期間の中央値は26週にとどまり、含まれる薬剤もリラグルチドに限りません。

ビクトーザのLEADER試験で報告された有害事象

中止につながった有害事象で最も多かったのは消化器の症状でした。胆のうと胆道のできごとは増え、急性膵炎と腫瘍では両群に有意な差がついていません。

項目リラグルチド群比較の指標
急性胆のう・胆道疾患141人/4,668人ハザード比1.60(1.23〜2.09)
急性膵炎18人(0.4%)プラセボ群は23人(0.5%)
腫瘍の確認10.1%ハザード比1.12(0.99〜1.28)
重症低血糖114人率比0.69(0.51〜0.93)

中止につながった有害事象は消化器の症状が中心

リラグルチドを中止する理由として最も多かったのは、吐き気や下痢といった消化器の症状でした。心臓や腎臓のできごとではなく、日々の飲み食いに関わる症状が続けるかどうかの分かれ目になっていたわけです。

症状の重さには個人差があり、数週間かけて落ち着く人もいれば、そのまま中止に至る人もいます。誰もが同じ経過をたどるわけではありません。

胆のうと胆道のできごとは増えていた

急性の胆のう疾患または胆道疾患は、リラグルチド群4,668人中141人、プラセボ群4,672人中88人に起きました。ハザード比は1.60(95%信頼区間1.23〜2.09)、p<0.001で、増える側へはっきり振れています。

胆のうの摘出手術もリラグルチド群で多く、ハザード比1.56(1.10〜2.20)、p=0.013でした。ただし胆道のできごとが起きた人のうち手術に至った割合は57%と59%で、両群にほとんど差がありません。

つまり手術が増えたのは、できごとの起きる人数そのものが増えたためだと読めます。腹部の強い痛みや発熱が続く場面では、早めの相談が役に立ちます。

膵酵素は上がったが急性膵炎は増えていない

血液中の酵素はリラグルチド群でリパーゼが28.0%、アミラーゼが7.0%それぞれプラセボ群より高く、6か月の時点で上がったあとは横ばいでした。数値としては動いています。

一方、判定を経て確認された急性膵炎はリラグルチド群18人(0.4%・1,000患者観察年あたり1.1件)、プラセボ群23人(0.5%・1.7件)で、数のうえではむしろ少ない側でした。多くは無作為化から12か月以上たってから起きています。

酵素の上昇が後の急性膵炎を予測したかというと、陽性的中率は1.0%未満にとどまりました。膵炎の既往がある人でも、リラグルチド群147人とプラセボ群120人のあいだで起こりやすさに違いは見られていません。

腫瘍と重症低血糖はどう報告されたか

腫瘍が確認されたのはリラグルチド群10.1%、プラセボ群9.0%で、ハザード比1.12(95%信頼区間0.99〜1.28)でした。悪性が1.06(0.90〜1.25)、良性が1.16(0.93〜1.44)です。

膵臓や甲状腺を含め、評価された悪性腫瘍の信頼区間はいずれも1をまたいでいました。前立腺の腫瘍だけがリラグルチド群で少なかったものの、この試験は腫瘍を主目的に設計されていません。

重症低血糖を経験したのは全体で267人、内訳はリラグルチド群114人とプラセボ群153人で、率比は0.69(95%信頼区間0.51〜0.93)でした。経験した人は糖尿病の期間が長く、心不全や腎疾患を抱え、インスリンを使っている割合が高い傾向にあります。

ビクトーザのLEADER試験の結果はどこまで当てはまるのか?

確かめられたのは、心血管リスクの高い2型糖尿病の人へ1日1.8mgまでを3.8年前後使った範囲です。用量・対象・期間のどれかが変われば、同じ結論をそのまま持ち込めるとは限りません。

確かめられたのは1日1.8mgまでという用量

この試験で使われたリラグルチドは、2型糖尿病の治療用量として設定された1日1.8mgまででした。肥満症向けに設定された3.0mgという用量を検証したものではありません。

成分が同じでも、量と対象と目的が変われば当てはまる範囲は動きます。心血管の良い数字をダイエット目的の使い方へ横滑りさせる読み方は、試験が答えた問いから外れてしまいます。

参加者は実際の患者集団をそのまま映してはいない

地域の住民を追いかけた研究と突き合わせた検討があります。オーストラリアのフリマントル糖尿病研究の第2期では、2型糖尿病の1,551人のうちLEADER試験の条件を満たしたのは323人(20.8%)にとどまりました。

条件を満たした人たちは試験の参加者より平均で6歳ほど年上で、男性・肥満・心血管疾患の既往のいずれも少ない構成でした。主要評価項目にあたるできごとは100患者年あたり2.9件で、試験のプラセボ群の3.9件より低い数字です。

心血管が原因の死亡は0.8件対1.6件と地域の集団のほうが少なく、逆に心血管以外の死亡は2.1件対1.0件と多くなっていました。著者らはこの食い違いを、試験に参加する人が選ばれる過程の偏りとして論じています。

3.8年という追跡の長さが区切る範囲

追跡期間の中央値は3.8年で、最長でも5年です。糖尿病の治療は何十年と続く場面が珍しくないため、この長さで確かめられたのは経過のごく一部にすぎません。

読むときに切り分けておきたい前提を並べると、次のようになります。

  • 用量は1日1.8mgまで。肥満症向けの3.0mgは対象外
  • 対象は2型糖尿病があり心血管リスクの高い人に限られる
  • 8割が心血管疾患をすでに経験している集団
  • 追跡は中央値3.8年・最長5年
  • 探索的な評価項目に多重性の調整はかかっていない

どれも試験の欠点ではなく、答えた問いの輪郭です。輪郭を押さえておけば、自分の状況に近い部分と遠い部分を分けて受け取れます。

日本でビクトーザを使う人はLEADER試験の数字をどう受け取るか

ビクトーザは日本では2型糖尿病の効能で承認された薬で、肥満症やダイエットの効能では承認されていません。LEADER試験の数字も、糖尿病の治療という土台の上に立っています。

承認されているのは2型糖尿病の治療という範囲

日本で承認されているビクトーザの効能は2型糖尿病で、用量は1日1.8mgまでと定められています。試験で検証された使い方と、国内で認められた使い方はここが重なります。

成分が同じリラグルチドでも、最大3.0mgのサクセンダは日本では承認されていません。用量も適応も入手の経路も違うため、両者の数字を混ぜて語ると話が食い違います。

ダイエット目的の使用は適応外で自由診療になる

2型糖尿病の治療としてではなく体重を減らす目的でビクトーザを使う場合、それは承認された効能の外側にあたる適応外使用です。この使い方では公的医療保険は使えず、当院を含めて自由診療で扱われます。

費用は全額が自己負担となり、金額の設定は医療機関ごとに異なります。続ける期間も含めた総額を先に確かめておくと、途中で判断に迷う場面が減るでしょう。

主な副作用は吐き気や下痢などの消化器の症状で、試験では胆のうと胆道のできごとが増える結果も出ていました。痩せる薬という受け取り方ではなく、糖尿病の治療薬をどう扱うかという枠組みで考えるほうが実際に即しています。

診察で伝えておくと判断が早く進む情報

心血管の話題が絡む場面では、体重の数字よりも心臓と腎臓の状態を先に共有しておくと話が早く進みます。次のような情報を整理しておくと、判断の材料がそろいます。

  • 心筋梗塞・脳卒中・心不全・狭心症で治療を受けた経験の有無
  • 服用中の薬すべて。血糖降下薬とインスリンは名前と量まで
  • 直近の血液検査。HbA1c・腎機能・尿のアルブミンの値
  • 胆石や膵炎、甲状腺の異常を指摘された経験があるか
  • 低血糖と思われる症状が出た回数と、そのときの状況

強い腹痛や嘔吐が続く、意識がもうろうとする、胸の痛みが出るといった変化が現れたときは、次の予約を待たずに処方元へ連絡するのが安全側の選択になります。

2026年後半の販売終了が決まっても試験の数字は残る

ビクトーザ皮下注18mgは、製造販売元であるノボ ノルディスク ファーマの発表により、2026年後半に販売終了となります。発表の時点では通常の出荷が続いており、同社は2026年以降の順次の切り替えを呼びかけていました。

見落としたくないのは、販売が終わるという事実が、LEADER試験で観察された13.0%対14.9%という数字を否定するわけではない点でしょう。9,340人を3.8年追いかけて得られた結果は、薬が手に入るかどうかとは別の次元にあります。

一方で、心血管が原因の死亡まで含めて差が出た薬が使えなくなる意味は、心血管リスクを抱えている人ほど軽くありません。自己判断で中断せず、血糖と心血管リスクの管理をこの先どう続けるかまで含めて、処方を受けている医療機関で相談しておくと判断が進みます。

よくある質問

ビクトーザのLEADER試験はどのような人を対象にした試験ですか?

2型糖尿病があり心血管リスクの高い9,340人が対象で、50歳以上で心血管疾患のある人と、60歳以上で心血管の危険因子を1つ以上持つ人の2つに分かれます。

平均年齢は64.3±7.2歳、平均BMIは32.5±6.3で、7,592人(81.3%)がすでに心血管疾患を抱えていました。健診で血糖を指摘された段階の人とは背景がかなり違います。

LEADER試験でビクトーザは心血管イベントをどれくらい減らしたのですか?

主要な複合評価項目はリラグルチド群4,668人中608人(13.0%)、プラセボ群4,672人中694人(14.9%)で、ハザード比0.87(95%信頼区間0.78〜0.97)でした。

心血管が原因の死亡は0.78(0.66〜0.93)、あらゆる原因による死亡は0.85(0.74〜0.97)です。絶対差はいずれも1〜2ポイントほどで、劇的な変化と呼べる幅ではありません。

ビクトーザのLEADER試験では腎臓についてどんな結果が出ましたか?

事前に定められた副次的な腎アウトカムが起きたのは268人対337人で、ハザード比0.78(95%信頼区間0.67〜0.92)、p=0.003でした。追跡期間の中央値は3.84年です。

差の大半は持続する顕性アルブミン尿の新規発症によるもので、161人対215人という内訳でした。腎有害事象そのものは1,000患者年あたり15.1件と16.5件で、両群が近い水準にとどまります。

LEADER試験でビクトーザの副作用はどう報告されましたか?

中止につながった有害事象で最も多かったのは消化器の症状でした。急性の胆のう・胆道疾患は141人対88人で、ハザード比1.60(95%信頼区間1.23〜2.09)と増える側に振れています。

急性膵炎は18人(0.4%)対23人(0.5%)、腫瘍の確認は10.1%対9.0%でハザード比1.12(0.99〜1.28)にとどまりました。重症低血糖は114人対153人で、率比0.69(0.51〜0.93)と報告されています。

ビクトーザのLEADER試験の結果はダイエット目的の使用にも当てはまりますか?

この試験が確かめたのは、2型糖尿病があり心血管リスクの高い人へ1日1.8mgまでを使った場合の結果です。肥満症向けに設定された3.0mgという用量は検証されていません。

体重を減らす目的での使用は、日本で承認された効能の外側にあたる適応外使用です。成分が同じでも、量と対象と目的が違えば、試験の数字が当てはまる範囲は変わります。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会